音声:信仰の列伝(49) 「サムエル(2) 主の預言者」(サムエル記第一、3章19節~7章)へブル人への手紙11章32~34節

2017年7月23日 (日) 午前10時半
礼拝メッセージ  眞部 明 牧師

へブル人への手紙11章32~34節
11:32 これ以上、何を言いましょうか。もし、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについても話すならば、時が足りないでしょう。
11:33 彼らは、信仰によって、国々を征服し、正しいことを行い、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、
11:34 火の勢いを消し、剣の刃をのがれ、弱い者なのに強くされ、戦いの勇士となり、他国の陣営を陥れました。
【新改訳改訂第3版】

<インフォメーション>

「ことば」は、へブル語で「ダベル」ですが、旧約聖書では、重要な鍵のことばです。

「主のことば」は、神の権威と力を持って、神のみこころと神のご性質を表わす啓示として、サムエルに与えられたのです。ですから、サムエルの語る「主のことば」は、必ず成し遂げられていったのです。

「わたしは彼らの同胞のうちから、彼らのためにあなたのようなひとりの預言者を起こそう。わたしは彼の口にわたしのことばを授けよう。彼は、わたしが命じることをみな、彼らに告げる。」(申命記18:18)

「預言者が主の名によって語っても、そのことが起こらず、実現しないなら、それは主が語られたことばではない。その預言者が不遜にもそれを語ったのである。彼を恐れてはならない。」(申命記18:22)

主は、サムエルを神の器にするために、親のハンナの信仰を祝し、幼子の成長を祝し、主がサムエルとともにいて、その働きを祝し、神のみことばの啓示を与えられて、預言者時代を始められたのです。

「サムエルのことばが全イスラエルに行き渡ったころ、イスラエルはペリシテ人を迎え撃つために戦いに出て、エベン・エゼルのあたりに陣を敷いた。ペリシテ人はアフェクに陣を敷いた。」(サムエル記第一、4:1)

主がサムエルに主のみことばを与えられたので、サムエルは神のみことばを語る預言者として働き、主のみことばがイスラエル全国に広がっていったのです。これはすばらしいことです。

現代でも、もっと便利な時代ですから、クリスチャンたちが信仰を働かして証しすれば、全国にみことばを広げることは、難しくありません。私もこれまで、全力を尽くして、みことばを伝えることに力を尽くして来ました。

「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。」(テモテ第二、4:2)

4章は、いきなりペリシテ人との戦いで始まっています。ペリシテ人は絶えずイスラエルを侵略し、略奪する隙(すき)を狙っていました。これに対してイスラエルは迎え撃つために戦いに出て行きましたが、これは祈りによっていませんし、主がともに戦ってくださっていませんから、たちまちイスラエルは打たれてしまっています。何故、サムエルに祈りを求めなかったのでしょうか。信仰は知っているだけでは、意味がありません。実際に毎日の生活で活用してこそ、その力を発揮します。

この頃はまだ、サムエルが主の預言者であることを知っていても、実際には、イスラエルの長老たちは、シロにある祭司エリや二人の息子ホフニとピネハスのいる主の宮を頼りにしていたのです。

そこで長老たちは、サムエルに、主がともに戦ってくださることを求めず、主の契約の箱を戦場に持ち出すことにしたのです。

目に見えない神の同行より、これまでヨルダン川を渡る時も活躍した神の臨在の象徴である契約の箱を持ち出せば、ペリシテに勝てると、考えたのです。

神の臨在の象徴を通して、神が働いて下さる時は、それを用いる人が生ける神を信じて従っている時だけです。ホフ二とピネハスが祭司の息子であっても、堕落している二人が契約の箱を担いでも、主はともに戦ってはくださいません。神の契約の箱が来たから、もう安心、それが我々の真ん中にあれば、我々を敵の手から救い出してくださる、と安易に考えるのは間違いです。却(かえ)って契約の箱は、ペリシテ人に奪われてしまいました。

私は、学問的知識や、教会の儀式や、教会堂の建物を軽視する者ではありませんが、安易にそれらを誇り、頼りにすれば、そこに落とし穴がありませんか。たましいの信仰が抜けている、敬虔そうな巧みなことばを使った祈りは、ハンナの祈りと比べて、どうですか。

心に、主を愛し、畏(おそ)れかしこむ、霊とまことのない、習慣的な礼拝出席は、いかがでしょうか。どこでも見られそうな姿ではありませんか。

<今週の活用聖句>

サムエル記第一、3章9節
「主よ。お話しください。しもべは聞いております。」

上の写真は、ボヘミア(プラハ)で14世紀後半に書かれた作者不明の絵「Battle against the Philistines / The ark of the covenant is robbed(ペリシテ人との戦い/契約の箱は盗られた)」(Wikimedia Commonsより)

地の塩港南キリスト教会
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