聖書の探求(221) 士師記 序(3) 士師記の霊的教訓、分解

上の絵は、オランダの画家 Matthias Stom (c.1600 – after 1652) により描かれた「Samson and Delilah(サムソンとデリラ)」(Galleria Nazionale d’Arte Antica蔵、Wikimedia Commonsより)


《士師記の霊的教訓》

1、私たちは、贖(あがな)われるだけでなく、神に治められなければなりません。

心の中の神に逆らう自己中心の性質が取り除かれ、きよめられ、神の御霊によって霊魂が占領され、満たされ、支配され、生活全体が、神のみこころを自発的に喜んで実行するものとならなければなりません。

2、国家頽廃(たいはい)の警告

宗教が形式化したり、世俗化すれば、国民全体の良心は腐敗し、政治も、司法も、教育も、経済も、社会全般が頽廃(たいはい)してしまうのです。

「正義は国を高め、罪は国民をはずかしめる。」(箴言14:34)

教会が霊的いのちを失えば、社会全体がいのちを失うのです。

「あなたがたは地の塩です。もし塩が塩けをなくしたら、何によって塩けをつけるのでしょう。もう何の役にも立たず、外に捨てられて、人々に踏みつけられるだけです。あなたがたは、世界の光です。山の上にある町は隠れる事ができません。また、あかりをつけて、それを枡(ます)の下に置く者はありません。燭台(しょくだい)の上に置きます。そうすれば、家にいる人々全部を照らします。このように、あなたがたの光を人々の前で輝かせ、人々があなたがたの良い行ないを見て、天におられるあなたがたの父をあがめるようにしなさい。」(マタイ5:13~16)

3、神のご支配に対する希望

神の懲らしめ、神の憐れみ、神のみ救いが、最も良い時に、最も良い方法、手段によって行なわれます。それは、神が送られるのであって、私たちが自分で選ぶのではありません。

しかし、神は、最も暗い中にいる者でも、罪を悔い改めるなら、必ず、救いの御手を与えて下さいます。

4、警告と希望

警告は、神が罪を罰する時に与えられます。神が実際に刑罰を下す前には、一回だけで、なく、何回も警告を発せられます。それに聞き従う人は幸いです。刑罰を受けてから悟る人は、心が頑(かたく)なで、わざわいです。

「きょう、もし御声を聞くならば、あなたがたの心をかたくなにしてはならない。」(ヘブル4:7、3:15)

希望は、心が砕かれて、罪を悔い改める者を、神は必ず救って下さることです。

「神へのいけにえは、砕かれたたましい。砕かれた、悔いた心。神よ。あなたは、それ
をさげすまれません。」(詩篇51:17)

「神は、高ぶる者を退け、へりくだる者に恵みをお授けになる。」(ヤコブ4:6)

「もし、私たちが自分の罪を言い表わすなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。」(ヨハネ第一 1:9)

「主を求めよ。お会いできる間に。近くにおられるうちに、呼び求めよ。悪者はおのれの道を捨て、不法者はおのれのはかりごとを捨て去れ。主に帰れ。そうすれば、主はあわれんでくださる。私たちの神に帰れ。豊かに赦してくださるから。」(イザヤ書55:6,7)

5、神の召命に対しては、人の応答が必要であること

神の召命は、伝道者や牧師になる人にだけ与えられるものではありません。すべての信仰者に与えられています。

イスラエル人は、神をあかしするために神の民として召されていました。そして神の律法も、神の約束の地も、神の祝福も与えられていました。彼らが主に信頼し、従順に従っていくなら、その繁栄は何倍にも増えていったはずです。しかし彼らは神の御声に応えなかったのです。神に応答するとは、口で「はい」と言うことではありません。毎日の生活の中で主に従って行くことです。勿論、牧師、伝道師、説教者に召されている人も同じです。

《分解》

1章~3章6節、序文、ヨシュアの死と士師時代の始まり(民の怠慢と堕落)

. 1:1、本書全体の緒言

. 1:2~2:5、カナン人との戦いの続き
.  1:2~36、当時の政府の状態の要約
.  2:1~5、主の使いの顕現

. 2:6~3:6、士師記の総括(士師時代の出来事をまとめて述べている-ヨシュアの死
後の背教と堕落)

3章7節~16章、本論、士師記の六周期(イスラエルの背信と士師の働き)

背教→隷属→悔い改め→釈放(この繰り返し、六回サイクル)

第一周期
. 3:7~11、士師オテニエル
.  敵 アラム・ナハライム(メソポタミヤ)の王クシャン・リシュアタイム

第二周期

. 3:12~30、士師エフデ
.  敵 モアブ王エグロン

. 3:31、士師シャムガル
.  敵 ペリシテ人

第三周期、4章~5章

. 士師デボラとバラク
.  4章、戦いと勝利
.  5章、賛美
.  敵 ハツォルのカナンの王ヤビンとヤビンの将軍シセラ

第四周期、6章~8章

. 士師ギデオン(別名エルバアル)
.  6章、ギデオンの召命
.  7章、戦い
. 8:1~32、迫撃
.  敵 ミデヤン人とアマレク人

8:33~10:5、挿入部分

. 8:33~35、イスラエルの再堕落
. 9章、アビメレクの挿話
. 10:1~5、トラとヤイルの挿話

第五周期、10:6~12章

. 10:6~12:7、士師エフタ
. 12:8~15、三人の土師イブツァン、エロン、アブドン
.  敵 アモン人

第六周期、13章~16章

. 士師サムソン
.  13章、誕生
.  14章、なぞ(隠語)
.  15章、勝利
.  16章、敗北と死
.  敵 ペリシテ人

17~21章、二つの付録

(無政府状態の結果、これは16章の後に起きたのではない。)

① 17章~18章、ダン族の偶像礼拝(エフライム人ミカと彼の家の祭司となったレビ人の挿話)
17章、ミカの盗み
18章、ダンの襲撃

②19章~21章、ベニヤミン族の愚行(ベニヤミン族のギベアにおける罪とその刑罰
ベニヤミンに対する諸族の抗争)

(まなべあきら 2002.8.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】より)


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