聖書の探求(178) ヨシュア記 序(1) 歴史書について

上の写真は、「Set of scrolls comprising the entire Tanakh(ヘブル語聖書タナハ全体から成っている巻物のセット)」(Wikimedia Commonsより)

(参考)タナハ(ヘブライ語: תנ״ך‎、Tanakh)は、ユダヤ教のヘブライ語聖書を指す言葉である。
ユダヤ教では聖書を3つの部分に分け、それぞれを、
Torah(トーラー:ヘブライ語: תורה‎、モーセ五書)
Nevi’im(ネイビーム:ヘブライ語: נביאים‎、預言者)
Ketubim(ケスビーム:ヘブライ語: כתובים‎、諸書)
と呼ぶ。タナハとは、この3つの頭文字を採って母音を付し、総称した語である。(Wikipediaより)

[歴史書について]

Ⅰ.旧約聖書の区分構成

A.訳本において (39巻)
1.律法(モーセの五書) 5巻

. 創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記

2.歴史書 12巻

. ヨシェア記からエステル記まで
a.部族政治の期間、ヨンエア記、士師記、ルツ記
b.王朝の興起と没落、サムエル(第一、第二)、列王記(第一、第二)、歴代誌(第一、第二)
c.捕囚からの帰還、エズラ記、ネヘミヤ記、エステル記

3.詩歌 5巻

. ヨブ記、詩篇、箴言、伝道者の書、雅歌、

4.預言書  17巻

. イザヤ書からマラキ書まで
a.大預言書  5巻 イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書
b.小預言書 12巻 ホセア書からマラキ書まで、

預言-神から預かったメッセージを伝えること
.預-あずける、あずかる(人格的)
.言-神のみことば(聖書、将来、現在、過去に関することを含む)
.豫-あらかじめ(天気予報など、時間的)

B.ヘブル語聖書の区分(24巻)原語はへブル語
1.律法(トーラー)5巻

. 創世記から申命記まで

2.預言者(ネビーム)8巻

a.前預言者 4巻 ヨシュア記、士師記、サムエル記(第一、第二)列王記(第一、第二)
b.後預言者 4巻 イザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書、十二預言者(ホセア書からマラキ書まで)

3.諸書(聖文書、ケスビーム)11巻

a.詩歌 3巻 詩篇、箴言、ヨブ記
b.巻物(メギロテ)5巻 雅歌、ルツ記、哀歌、伝道者の書、エステル記
c.歴史書 3巻 歴代誌(第一、第二)、エズラ・ネヘミヤ記、ダニエル書
(ヨセフスなどにより、ヘブル語聖書の書物数が22巻と言われているのは、士師記とルツ記、エレミヤ書と哀歌が一つに合併されているからです。)

【旧約聖書と新約聖者との興味深い対応]

旧約聖書新約聖書
1.歴史a. モーセの五書
b. 歴史書
四福音書
使徒の働き
2.教えと実践a. 詩歌
b. 知恵の書
パウロの手紙
公同書簡
3.預言a. 大預言書
b. 小預言書
ヨハネの黙示録

【旧約時代の神のお取り扱い方]

1.神政政治時代

①族長時代 250年間

②出エジプト時代(シナイ時代)40年間

③カナン時代(ヨシュア、士師の活躍)
. カナン定着時代 50年間
. 士師時代   300年間

2.王政政治(王国)時代

①統一王朝
. サウル 40年間
. ダビデ 40年間
. ソロモン 40年間

②分裂王朝
. 南王国ユダ BC586年滅亡(王、20代続く、350年間)
. 北王国イスラエル BC721年滅亡(王19代続く、200年間)

3.捕囚と回復

①バビロン捕囚時代 70年間
②帰還の時代 100年間
③中間時代 400年間

[前預言者について]

旧約聖書の第二区分を「預言者(ネビーム)」と呼んでいます。それは、書物の内容が預言的であるからではなく、その書物の記者たちが預言者の地位を占めていたからです。

この「預言者(ネビーム)」の区分の第一部の表題は、「前預言者」となっており、その中に含まれる書物は、ヨシュア記、士師記、サムエル記(第一、第二は、ヘブル語聖書では一冊になっている)、列王記(第一、第二は、ヘブル語聖書では一冊になっている)です。

これらの四冊の前預言者の書物の記者は、正確には不明です(ただし、適切と考えられる記者は挙げられています)。

これらの前預言者の書物は、カナン入国時から、バビロン捕囚による神政政治の崩壊に至るまでの、神政政治に対する神の経綸(神が国家を治め整えられること)を解釈した歴史書です。

これらの書物は、後預言者の書物(イザヤ書からマラキ書まで)の正しい理解のために補足し、必要な歴史的背景の資料を提供しています。

それだけでなく、モーセの五書で預言的に警告されていたことも、歴史の必然的な成就として記しています。

これらの前預言者の書物の中では、イスラエルの歴史は、イスラエルの基礎的律法に従って解釈されています。偉大な神政国家の憲法の基礎はすでに与えられていました。そしてその国家の歴史は、その憲法の光の下で記されています。それ故にこそ、この前預言者が重要になるのです(前預言者の重要性)。

あとがき

ご降誕の主を讃美申し上げます。また新しい年に主の恵みが、読者の皆様方の上に豊かに与えられますように。通り一遍の挨拶のようですが、そう願わずにはいられません。

ここにヨシェア記に入りました聖書の探求をお送りできますことをうれしく思います。最初は序論ですので、少し難しく感じられるかも知れませんが、要点を表にして、聖書にはさんでおかれると結構、お役に立てるのではないかと思います。

(まなべあきら 1999.1.1)

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