聖書の探求 006 創世記 序(1)

創世記

今回から、いよいよ創世記の探求に入ります。

1、創世記の名称について

(1) ユダヤ人は、その最初のことば「初めに」によって、この書を命名しました。

(2) タルムードの時代には、「世界創造の書」とも呼ばれました。(タルムードは、普通ユダヤ法典とよばれていますが、ユダヤの法律の由来の源泉となったものです。初めは、モーセの律法で成文化されていない事件について、単に口述されていた判例にすぎなかったのですが、キリストの時代には文書の形で記録され始めました。タルムードはミシュナとゲマラから成っています。)

(3) 「創世記」という名称は、2章4節の「これは天と地が創造されたときの経緯である。」のギリシャ語の70人訳聖書によっています。この「創世(GENESIS)」という語は、起源、始源、所産(事物の本源、または第一原因)という意味をもっています。そして、多くの翻訳聖書がこの名称を用いるようになったのです。
(2章4節の「創造」と訳されている語は5:1、6:9、10:1、11:10、11:27、25:12、25:19、36;1,9、37:2にも出てきますが2:4以外の箇所では「伝」とか「系図」 とか「歴史」とかに訳されています。)

創5:1 これはアダムの歴史の記録である。神は人を創造されたとき、神に似せて彼を造られ、

創6:9 これはノアの歴史である。ノアは、正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。

創10:1 これはノアの息子、セム、ハム、ヤペテの歴史である。大洪水の後に、彼らに子どもが生まれた。

創11:10 これはセムの歴史である。セムは百歳のとき、すなわち大洪水の二年後にアルパクシャデを生んだ。

創11:27 これはテラの歴史である。テラはアブラム、ナホル、ハランを生み、ハランはロトを生んだ。

創25:12 これはサラの女奴隷エジプト人ハガルがアブラハムに産んだアブラハムの子イシュマエルの歴史である。

創25:19 これはアブラハムの子イサクの歴史である。アブラハムはイサクを生んだ。

創36:1 これはエサウ、すなわちエドムの歴史である。

創36:9 これがセイルの山地にいたエドム人の先祖エサウの系図である。

創 37:2 これはヤコブの歴史である。ヨセフは十七歳のとき、彼の兄たちと羊の群れを飼っていた。・・・

この名称が表わすとおり、本書中には、宇宙と地球とその中の万物の初め、あるいはその起源を記しています。また創世記は、人間にあらわされた神の啓示の初めであり、ここに人類の初め、家族、社会、民族の初め、罪と犠牲の初め、約束と預言の初め、言語と芸術と文化と歴史の初めがあります。

2、目的

創世記が記された目的は、世の初めからイスラエル民族がエジプトに導き入れられ、神に選ばれた選民としての国家を形成する準備をするまでの神の啓示の歴史を示すことです。その中には、

  • 世界と人間の創造
  • 神と人との契約
  • 堕罪
  • 恵みの契約
  • 族長の生涯

などが含まれています。

第一部は、創造からアブラハムの召命に至るまでの時代(1~11章)です。この部分では、やや消極的な面が強く、イスラエル民族を他民族から分離する必要性があることを示しています。

第二部は、族長の召命あるいは神聖国家の準備(12~50章)ということができます。ここでは、イスラエル民族の分離に関して積極的な目標を示しています。

創世記中には、神と人との間に大きな契約が三つ結ばれています。

(1)ノアの洪水の前に、神はアダムと契約を 結ばれました(2:16,17)。

創 2:16 神である【主】は人に命じて仰せられた。「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。
2:17 しかし、善悪の知識の木からは取って食べてはならない。それを取って食べるとき、あなたは必ず死ぬ。」

(2)ノアの洪水の後に、神はノアと契約を結ばれました(9:8~17)。

創 9:8 神はノアと、彼といっしょにいる息子たちに告げて仰せられた。
9:9 「さあ、わたしはわたしの契約を立てよう。あなたがたと、そしてあなたがたの後の子孫と。
9:10 また、あなたがたといっしょにいるすべての生き物と。鳥、家畜、それにあなたがたといっしょにいるすべての野の獣、箱舟から出て来たすべてのもの、地のすべての生き物と。
9:11 わたしはあなたがたと契約を立てる。すべて肉なるものは、もはや大洪水の水では断ち切られない。もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」
9:12 さらに神は仰せられた。「わたしとあなたがた、およびあなたがたといっしょにいるすべての生き物との間に、わたしが代々永遠にわたって結ぶ契約のしるしは、これである。
9:13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。
9:14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。
9:15 わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべて肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。
9:16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」
9:17 こうして神はノアに仰せられた。「これが、わたしと、地上のすべての肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」

この二つの契約は普遍的なものでしたが、人間が神の戒めを守れず、真の宗教を保持することができなかったので、

(3) 神は、さらに制限された契約を族長アブラハムと結ばれました(15章)。

人間が全人類を含む普遍的契約を破ったので、神はイスラエル民族を世界の他の民族から分離し、真の信仰によって義とされ、その信仰が栄え、ついに悪のもろもろの力を征服することができるようにされたのです。これが神のご計画です。

このように、創世記には多くの信仰の訓練があるにもかかわらず、大きな神の啓示の歴史の中では、揺藍期であったのです。

3、創世記中の年数

創世記5:1~32によれば、その子の生まれた時の年令を加算していくと、アダムよりノアの洪水までが1656年、ノアの洪水よりアブラハムの召命までが367年となります。

創 5:1 これはアダムの歴史の記録である。神は人を創造されたとき、神に似せて彼を造られ、
5:2 男と女とに彼らを創造された。彼らが創造された日に、神は彼らを祝福して、その名を人と呼ばれた。
5:3 アダムは、百三十年生きて、彼に似た、彼のかたちどおりの子を生んだ。彼はその子をセツと名づけた。
5:4 アダムはセツを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:5 アダムは全部で九百三十年生きた。こうして彼は死んだ。
5:6 セツは百五年生きて、エノシュを生んだ。
5:7 セツはエノシュを生んで後、八百七年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:8 セツの一生は九百十二年であった。こうして彼は死んだ。
5:9 エノシュは九十年生きて、ケナンを生んだ。
5:10 エノシュはケナンを生んで後、八百十五年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:11 エノシュの一生は九百五年であった。こうして彼は死んだ。
5:12 ケナンは七十年生きて、マハラルエルを生んだ。
5:13 ケナンはマハラルエルを生んで後、八百四十年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:14 ケナンの一生は九百十年であった。こうして彼は死んだ。
5:15 マハラルエルは六十五年生きて、エレデを生んだ。
5:16 マハラルエルはエレデを生んで後、八百三十年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:17 マハラルエルの一生は八百九十五年であった。こうして彼は死んだ。
5:18 エレデは百六十二年生きて、エノクを生んだ。
5:19 エレデはエノクを生んで後、八百年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:20 エレデの一生は九百六十二年であった。こうして彼は死んだ。
5:21 エノクは六十五年生きて、メトシェラを生んだ。
5:22 エノクはメトシェラを生んで後、三百年、神とともに歩んだ。そして、息子、娘たちを生んだ。
5:23 エノクの一生は三百六十五年であった。
5:24 エノクは神とともに歩んだ。神が彼を取られたので、彼はいなくなった。
5:25 メトシェラは百八十七年生きて、レメクを生んだ。
5:26 メトシェラはレメクを生んで後、七百八十二年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:27 メトシェラの一生は九百六十九年であった。こうして彼は死んだ。
5:28 レメクは百八十二年生きて、ひとりの男の子を生んだ。
5:29 彼はその子をノアと名づけて言った。「【主】がこの地をのろわれたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、この私たちに、この子は慰めを与えてくれるであろう。」
5:30 レメクはノアを生んで後、五百九十五年生き、息子、娘たちを生んだ。
5:31 レメクの一生は七百七十七年であった。こうして彼は死んだ。
5:32 ノアが五百歳になったとき、ノアはセム、ハム、ヤペテを生んだ。

ノアの洪水を境にして人間の寿命が急速に短かくなっています。これは創世記6:3の「それで人の齢は、120年にしよう。」と仰せられた神のみことばによるものですが、その原因は、ノアの時の大洪水によって気候に異変が生じ、生活環境が変わってしまい病原菌も急速にふえたためと思われます。

創 6:3 そこで、【主】は、「わたしの霊は、永久には人のうちにとどまらないであろう。それは人が肉にすぎないからだ。それで人の齢は、百二十年にしよう」と仰せられた。

ここで私たちが知りたいことの一つは、創世記の初期の出来事をどのようにしてアブラハムたちに伝えていったのかということです。アブラハムの時代には、すでに図書館があったことが考古学者の発掘によって分かっていますから、アダムがどのようにしてアブラハムにエデンの園で起きた出来事を伝えたかが分かれば、聖書にその出来事を記すことは当然できたことが、うなずけるわけです。

そこで年数に注目していただきたいのです。

アダムの生涯はメトシェラと243年重なっています。

メトシェラの生涯はノアと600年、セムと98年重なっています。アダムの死からノアの誕生まで、わずか126年しか離れていないのです。

ノアは洪水後350年生きて、アブラハムの誕生の2年前に死にました。

セムは洪水の98年前に生まれ、洪水後502年生きました。セムはアブラハムのカナン入国後も、75年間生きていたのです。

アダムは7代の子孫が生まれるまで生きていたし、ノアは彼の9代の子孫が生まれるまで生きていました。

この年数からしますと、

(1)創造や堕落の出来事は、
アダムから直接メトシェラやレメクにまで伝えられ、メトシェラやレメクはノア(レメクの息子)に直接伝えることができました。

(2)洪水の出来事は、
ノアと共にそれを直接体験したセムが、アブラハムに直接伝えることができました。

(3)アブラハムの召命のことも、アブラハムの死の時、ヤコブはすでに16才になっていたから、ヤコブはその出来事をアブラハムから直接聞いていたはずです。

このようにして、アダムは4人の仲介者を通してその出来事をヤコブに伝えることができました。ヤコブはヨセフをはじめ、イスラエルの一族にこれらの出来事をすべて広く伝えたはずです。そして創世記を記したモーセの時代には、これらの出来事を記した記録文が書かれるに至っていたのです。

4、系図に関する記録

聖書は、新しい時代が始まろうとする度に、系図をのせています。系図はイスラエルにとって、神の啓示の歴史であり、あかしであったからです。

創世記では、

  • 2:4 天地創造の経緯
  • 5:1 アダムの歴史
  • 6:9 ノアの歴史
  • 10:1 ノアの息子セム、ハム、ヤペテの歴史
  • 11:10 セムの歴史
  • 11:27 テラの歴史
  • 25:12 イシュマエルの歴史
  • 29:19 イサクの歴史
  • 36:1 エサウ(エドム)の歴史
  • 37:2 ヤコブの歴史

(「1.創世記の名称について」の項を参考)

5、創世記の統一性

創世記中には、厳密に神の意図的な流れが中心に走っています。

(1) アダムからヤコブまで、アダムの家族の 主流派と傍系派とを明白に区別して扱っています。

  • セツとカイン
  • セムとハム、ヤペテ
  • アブラハムとロト
  • イサクとイシュマエル
  • ヤコブとエサウ

両者の間には明確な区別がなされています。聖書では、ほかにいかに栄えた民族があっても、神の道を歩んでいくものが主流であり、永遠に残るのです。ヨハネは次のように言っています。

「世と世の欲は滅び去ります。しかし、神のみこころを行なう者は、いつまでもながらえます。」(ヨハネの手紙第一、2:17)

聖書中、クリスチャンこそ、神の道を歩む主流であることは間違いありません。ですから周囲の繁栄した多くの民にまどわされないで神の道を最後まで歩みたいものです。

(2) 神は、選んだ人物、選んだ民族を他のものから分離することによって、あがないの目的を達成しようと、準備しておられることが分かります。神のご計画はあまりに偉大でありますが故に、すでにそのご計画が始まっていても、私たちに気づかないことが多いのです。この創世記においても、各所に神のあがないのご計画が見られます。その一つが、創世記中の代表的3人の人物の中に見られます。

(イ)アダム(人類の誕生を意味します。)

彼の事件は堕落、すなわち罪です(3:1~13)。

創 3:1 さて、神である【主】が造られたあらゆる野の獣のうちで、蛇が一番狡猾であった。蛇は女に言った。「あなたがたは、園のどんな木からも食べてはならない、と神は、ほんとうに言われたのですか。」
3:2 女は蛇に言った。「私たちは、園にある木の実を食べてよいのです。
3:3 しかし、園の中央にある木の実について、神は、『あなたがたは、それを食べてはならない。それに触れてもいけない。あなたがたが死ぬといけないからだ』と仰せになりました。」
3:4 そこで、蛇は女に言った。「あなたがたは決して死にません。
3:5 あなたがたがそれを食べるその時、あなたがたの目が開け、あなたがたが神のようになり、善悪を知るようになることを神は知っているのです。」
3:6 そこで女が見ると、その木は、まことに食べるのに良く、目に慕わしく、賢くするというその木はいかにも好ましかった。それで女はその実を取って食べ、いっしょにいた夫にも与えたので、夫も食べた。
3:7 このようにして、ふたりの目は開かれ、それで彼らは自分たちが裸であることを知った。そこで、彼らは、いちじくの葉をつづり合わせて、自分たちの腰のおおいを作った。
3:8 そよ風の吹くころ、彼らは園を歩き回られる神である【主】の声を聞いた。それで人とその妻は、神である【主】の御顔を避けて園の木の間に身を隠した。
3:9 神である【主】は、人に呼びかけ、彼に仰せられた。「あなたは、どこにいるのか。」
3:10 彼は答えた。「私は園で、あなたの声を聞きました。それで私は裸なので、恐れて、隠れました。」
3:11 すると、仰せになった。「あなたが裸であるのを、だれがあなたに教えたのか。あなたは、食べてはならない、と命じておいた木から食べたのか。」
3:12 人は言った。「あなたが私のそばに置かれたこの女が、あの木から取って私にくれたので、私は食べたのです。」
3:13 そこで、神である【主】は女に仰せられた。「あなたは、いったいなんということをしたのか。」女は答えた。「蛇が私を惑わしたのです。それで私は食べたのです。」

彼に対する神の約束は、サタンとの闘争と、勝利と、生活の苦しみです(3:14~19)。

創 3:14 神である【主】は蛇に仰せられた。「おまえが、こんな事をしたので、おまえは、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりものろわれる。おまえは、一生、腹ばいで歩き、ちりを食べなければならない。
3:15 わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の子孫との間に、敵意を置く。彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかかとにかみつく。」
3:16 女にはこう仰せられた。「わたしは、あなたのうめきと苦しみを大いに増す。あなたは、苦しんで子を産まなければならない。しかも、あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる。」
3:17 また、人に仰せられた。「あなたが、妻の声に聞き従い、食べてはならないとわたしが命じておいた木から食べたので、土地は、あなたのゆえにのろわれてしまった。あなたは、一生、苦しんで食を得なければならない。
3:18 土地は、あなたのために、いばらとあざみを生えさせ、あなたは、野の草を食べなければならない。
3:19 あなたは、顔に汗を流して糧を得、ついに、あなたは土に帰る。あなたはそこから取られたのだから。あなたはちりだから、ちりに帰らなければならない。」

神が彼に与えたしるしは、ケルビムと剣です(3:24)。これは罪によって人は神から離れてしまうことを示しています。

創 3:24 こうして、神は人を追放して、いのちの木への道を守るために、エデンの園の東に、ケルビムと輪を描いて回る炎の剣を置かれた。

(ロ)ノア(人類の保存を意味します。)

彼の事件は洪水、すなわち神の審判です(6~8章)。
創 9:6 人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから。
9:7 あなたがたは生めよ。ふえよ。地に群がり、地にふえよ。」
9:8 神はノアと、彼といっしょにいる息子たちに告げて仰せられた。

彼に対する神の約束は、支配(9:1~3)と、いのちが神聖であること(9:4~7)と、祝福の保証 (9:8~17)です。

創9:1 それで、神はノアと、その息子たちを祝福して、彼らに仰せられた。「生めよ。ふえよ。地に満ちよ。
9:2 野の獣、空の鳥、──地の上を動くすべてのもの──それに海の魚、これらすべてはあなたがたを恐れておののこう。わたしはこれらをあなたがたにゆだねている。
9:3 生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた。

創  9:4 しかし、肉は、そのいのちである血のあるままで食べてはならない。
9:5 わたしはあなたがたのいのちのためには、あなたがたの血の価を要求する。わたしはどんな獣にでも、それを要求する。また人にも、兄弟である者にも、人のいのちを要求する。
9:6 人の血を流す者は、人によって、血を流される。神は人を神のかたちにお造りになったから。
9:7 あなたがたは生めよ。ふえよ。地に群がり、地にふえよ。」

創  9:8 神はノアと、彼といっしょにいる息子たちに告げて仰せられた。
9:9 「さあ、わたしはわたしの契約を立てよう。あなたがたと、そしてあなたがたの後の子孫と。
9:10 また、あなたがたといっしょにいるすべての生き物と。鳥、家畜、それにあなたがたといっしょにいるすべての野の獣、箱舟から出て来たすべてのもの、地のすべての生き物と。
9:11 わたしはあなたがたと契約を立てる。すべて肉なるものは、もはや大洪水の水では断ち切られない。もはや大洪水が地を滅ぼすようなことはない。」
9:12 さらに神は仰せられた。「わたしとあなたがた、およびあなたがたといっしょにいるすべての生き物との間に、わたしが代々永遠にわたって結ぶ契約のしるしは、これである。
9:13 わたしは雲の中に、わたしの虹を立てる。それはわたしと地との間の契約のしるしとなる。
9:14 わたしが地の上に雲を起こすとき、虹が雲の中に現れる。
9:15 わたしは、わたしとあなたがたとの間、およびすべて肉なる生き物との間の、わたしの契約を思い出すから、大水は、すべての肉なるものを滅ぼす大洪水とは決してならない。
9:16 虹が雲の中にあるとき、わたしはそれを見て、神と、すべての生き物、地上のすべて肉なるものとの間の永遠の契約を思い出そう。」
9:17 こうして神はノアに仰せられた。「これが、わたしと、地上のすべての肉なるものとの間に立てた契約のしるしである。」

神が彼に与えたしるしは虹です (9:13~17 )。これは、罪のために、神の前に正しく生きている者が他のものから分離されたことを示しています。

(ハ)アブラハム(人類の祝福を意味します。)

彼の事件は召命、すなわちあがないです(12:1~3)。

創 12:1 【主】はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。
12:2 そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。あなたの名は祝福となる。
12:3 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」

彼に対する神の約束は、土地(カナンの地)(13:14~17)と、子孫(15:4~5)と、祝福(17:1~21)です。

創13:14 ロトがアブラムと別れて後、【主】はアブラムに仰せられた。「さあ、目を上げて、あなたがいる所から北と南、東と西を見渡しなさい。
13:15 わたしは、あなたが見渡しているこの地全部を、永久にあなたとあなたの子孫とに与えよう。
13:16 わたしは、あなたの子孫を地のちりのようにならせる。もし人が地のちりを数えることができれば、あなたの子孫をも数えることができよう。
13:17 立って、その地を縦と横に歩き回りなさい。わたしがあなたに、その地を与えるのだから。」

創 15:4 すると、【主】のことばが彼に臨み、こう仰せられた。「その者があなたの跡を継いではならない。ただ、あなた自身から生まれ出て来る者が、あなたの跡を継がなければならない。」
15:5 そして、彼を外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」

創17:1 アブラムが九十九歳になったとき【主】はアブラムに現れ、こう仰せられた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。
17:2 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」
17:3 アブラムは、ひれ伏した。神は彼に告げて仰せられた。
17:4 「わたしは、この、わたしの契約をあなたと結ぶ。あなたは多くの国民の父となる。
17:5 あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。
17:6 わたしは、あなたの子孫をおびただしくふやし、あなたを幾つかの国民とする。あなたから、王たちが出て来よう。
17:7 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に、そしてあなたの後のあなたの子孫との間に、代々にわたる永遠の契約として立てる。わたしがあなたの神、あなたの後の子孫の神となるためである。
17:8 わたしは、あなたが滞在している地、すなわちカナンの全土を、あなたとあなたの後のあなたの子孫に永遠の所有として与える。わたしは、彼らの神となる。」
17:9 ついで、神はアブラハムに仰せられた。「あなたは、あなたの後のあなたの子孫とともに、代々にわたり、わたしの契約を守らなければならない。
17:10 次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後のあなたの子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。
17:11 あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。
17:12 あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に、割礼を受けなければならない。家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。
17:13 あなたの家で生まれたしもべも、あなたが金で買い取った者も、必ず割礼を受けなければならない。わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。
17:14 包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである。」
17:15 また、神はアブラハムに仰せられた。「あなたの妻サライのことだが、その名をサライと呼んではならない。その名はサラとなるからだ。
17:16 わたしは彼女を祝福しよう。確かに、彼女によって、あなたにひとりの男の子を与えよう。わたしは彼女を祝福する。彼女は国々の母となり、国々の民の王たちが、彼女から出て来る。」
17:17 アブラハムはひれ伏し、そして笑ったが、心の中で言った。「百歳の者に子どもが生まれようか。サラにしても、九十歳の女が子を産むことができようか。」
17:18 そして、アブラハムは神に申し上げた。「どうかイシュマエルが、あなたの御前で生きながらえますように。」
17:19 すると神は仰せられた。「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしは彼とわたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。
17:20 イシュマエルについては、あなたの言うことを聞き入れた。確かに、わたしは彼を祝福し、彼の子孫をふやし、非常に多く増し加えよう。彼は十二人の族長たちを生む。わたしは彼を大いなる国民としよう。
17:21 しかしわたしは、来年の今ごろサラがあなたに産むイサクと、わたしの契約を立てる。」

神が彼に与えたしるしは割礼です(17:10~14、23~27)。これは 罪から離れることを意味しています。

創 17:10 次のことが、わたしとあなたがたと、またあなたの後のあなたの子孫との間で、あなたがたが守るべきわたしの契約である。あなたがたの中のすべての男子は割礼を受けなさい。
17:11 あなたがたは、あなたがたの包皮の肉を切り捨てなさい。それが、わたしとあなたがたの間の契約のしるしである。
17:12 あなたがたの中の男子はみな、代々にわたり、生まれて八日目に、割礼を受けなければならない。家で生まれたしもべも、外国人から金で買い取られたあなたの子孫ではない者も。
17:13 あなたの家で生まれたしもべも、あなたが金で買い取った者も、必ず割礼を受けなければならない。わたしの契約は、永遠の契約として、あなたがたの肉の上にしるされなければならない。
17:14 包皮の肉を切り捨てられていない無割礼の男、そのような者は、その民から断ち切られなければならない。わたしの契約を破ったのである。」

創 17:23 そこでアブラハムは、その子イシュマエルと家で生まれたしもべ、また金で買い取った者、アブラハムの家の人々のうちのすべての男子を集め、神が彼にお告げになったとおり、その日のうちに、彼らの包皮の肉を切り捨てた。
17:24 アブラハムが包皮の肉を切り捨てられたときは、九十九歳であった。
17:25 その子イシュマエルが包皮の肉を切り捨てられたときは、十三歳であった。
17:26 アブラハムとその子イシュマエルは、その日のうちに割礼を受けた。
17:27 彼の家の男たち、すなわち、家で生まれた奴隷、外国人から金で買い取った者もみな、彼といっしょに割礼を受けた。

実に、パウロが同族のユダヤ人から激しい迫害を受けたのは、この割礼の問題によるものでした。パウロは、外国人は割礼の儀式を受けなくても、イエス・キリストを信じる信仰によってのみ救われることを強調しました。これに対してユダヤ人たちは、外国人がクリスチャンとなるためには、まず割礼の儀式を受けてユダヤ人となり、ついでクリスチャンになるべきだと主張したのです。彼らは割礼の儀式そのものが重要であると考えたのです。

いつの時代でも、宗教は、心の中の信仰の内容よりも外見上の儀式的なものを重要視する危険があります。今日でも、イエス・キリストを信じていることよりも、洗礼を受けていることのほうが重要だと考えている人が少なくありません。しかし神がアブラハムに割礼を要求された時でも、外見上の儀式を要求されたのではないことは明らかです。外見上のことは、神に反逆する頑な心を捨てて、従順な民となっていることを表わすしるしでしかなかったのです。

「彼らの無割礼の心はへりくだり、彼らの咎の償いをしよう。」(レビ記26:41)

「あなたがたは、心の包皮を切り捨てなさい。もううなじのこわい者であってはならない。」(申命記10:16)

「主のために割礼を受け、心の包皮を取り除け。」(エレミヤ書4:4)

「外見上のからだの割礼が割礼なのではありません。かえって…・御霊による心の割礼こそ割礼です。」 (ローマ2:28~29)

「神の御霊によって礼拝をし、キリスト・イエスを誇り、人間的なものを頼みにしない私たちのほうこそ、割礼の者なのです。」(ビリピ3:3)

「キリストにあって、あなたがたは人の手によらない割礼を受けました。肉のからだを脱ぎ捨て、キリストの割礼を受けたのです。」(コロサイ2:11)

私たちも洗礼を受けているということだけで満足していてはいけません。また礼拝の式に出席しているというだけで満足してはいけません。みことばにあるとおり、頑固な心が砕かれ、御霊によって礼拝し、内なる信仰が満ちあふれ、日ごとに霊魂が刷新されていることが大切なことです。パウロは、

「キリスト・イエスにあっては、割礼を受ける受けないは大事なことではなく 愛によって働く信仰だけが大事なのです。」 (ガラテヤ5:6)と言っています。

以上のことを分析して整理してみますと、重大なことを発見することができます。すなわち、創世記中には三つのテーマが重なるようにして述べられていることです。それを表にしてみますと、

 

全体的には 審判 あがない
3人の代表 事件 約束 しるし
必要に対する約束 救い主 安全 祝福
人類 堕落 刑罰 あがない
創造主 審判者 救い主

このように創世記中には、あきらかに、一つの目的を果すための神の意図が強く流れていることが分かります。

6、創世記中の主なメッセージ

(1)鍵のことばは「初めに、神が」(1:1)です。

創1:1 初めに、神が天と地を創造した。

これは創造の初めであって、ヨハネの福音書1:1の永遠の初めではありません。

ヨハ1:1 初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。

しかし創造の初めも、神的初めです。創世記中には、創造の起源、人の起源、罪の起源、あがないの起源があります。

(2)神の臨在は、創造者、律法賦与者、保護者審判者、あがない主として記されています。

(3)神の目的であるあがないは、最初から最後まで最重要課題として記されています。

(4)神のご計画は、次のものを用いてなされています。

(イ)神ご自身の導きのもとに

神が先頭に立っておられ、人はその後に従っているのにすぎません。

(ロ)明確な目的をもって

その目的は、文明化(カインのつくった社会)ではなく、征服(ニムロデのつくった社会)でもなく、救いによる霊的祝福(アブラハムの信仰)です。

(ハ)ふさわしい手段をとおして

ノアの信仰、アブラハムの信仰、イサクの信仰、ヤコブの信仰、ヨセフの信仰をとおして神はみわざを行なわれました。(ヘプル人への手紙11章参考)これは、神がご計画を完成するには、神の啓示に答える人の信仰が必要であることをあらわしています。

(5)神の約束 神はご自分の民を最初から最後まで、ご自分の手で支えられ、ご自分で養われます。創世記50:20~21,25、イザヤ書46:3~4

創 50:20 あなたがたは、私に悪を計りましたが、神はそれを、良いことのための計らいとなさいました。それはきょうのようにして、多くの人々を生かしておくためでした。
50:21 ですから、もう恐れることはありません。私は、あなたがたや、あなたがたの子どもたちを養いましょう。」こうして彼は彼らを慰め、優しく語りかけた。

創 50:25 そうして、ヨセフはイスラエルの子らに誓わせて、「神は必ずあなたがたを顧みてくださるから、そのとき、あなたがたは私の遺体をここから携え上ってください」と言った。

イザ 46:3 わたしに聞け、ヤコブの家と、イスラエルの家のすべての残りの者よ。胎内にいる時からになわれており、生まれる前から運ばれた者よ。


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