聖書の探求(011b)創世記6~7章 ノアの洪水、箱舟、キリストの十字架の救いの型
上の写真は、アメリカのフォーク画家Edward Hicks (1780 – 1849)により1846年に描かれた「Noah’s Ark(ノアの箱舟)」(Philadelphia Museum of Art蔵、Wikimedia Commonsより)
〔ノアの洪水の一般的研究〕
ノアの洪水が歴史的事実であることは、主イエスご自身がはっきりと示しておられるので(マタイ24:37~39、ルカ17:26~27)、それ以外に信じる根拠を必要とはしませんけれども、ほかにも多くの証拠がありますので参考までに、そのいくつかを記してみましょう。
マタイ24:37 人の子が来るのは、ちょうど、ノアの日のようだからです。
24:38 洪水前の日々は、ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、飲んだり、食べたり、めとったり、とついだりしていました。
24:39 そして、洪水が来てすべての物をさらってしまうまで、彼らはわからなかったのです。人の子が来るのも、そのとおりです。
ルカ17:26 人の子の日に起こることは、ちょうど、ノアの日に起こったことと同様です。
17:27 ノアが箱舟に入るその日まで、人々は、食べたり、飲んだり、めとったり、とついだりしていたが、洪水が来て、すべての人を滅ぼしてしまいました。
一、歴史的証拠
①世界の多くの国々に、この洪水が事実であることの言い伝えがあります。たとえば南太平洋の諸島やインドには詳しい言い伝えがあります。
②インドにビイシヌという名の偶像があります。この名はカルデヤ語のイシヌと同じです。カルデヤ語でもへブル語でも「イシ」は人を意味し、「ヌ」はノアを意味しています。
③アッシリヤにも詳しい言い伝えがあります。オックスフォード大学のアッシリヤ学のセイス博士は、発掘された記録が聖書の物語とあまりによく似ていることを発見したと言っています。
④またヒズロック博士は、「二つのバビロン」という著書の中で、「ギリシャ、ローマ、およびアジヤの神話全体にわたって、誤解することのできないほど明らかなノアの歴史とその事跡が満ちている。」と言っています。
二、地質学的証拠
①海から遠く離れている陸地や高山の頂上に海底の沈澱物が発見されていること。
②地質学者たちは、地平線や水平線の変化などを説明するために、大陸が一時に高まり、次に海底に沈んで、再び現在の地平線に復帰したものと考えていること。
③地球の南半球ともその大部分がかつて大水原におおわれていた痕跡があること。
④世界の所々に、洪水と氷によって運び移されてきた漂石の堆積が発見されていること。
三、動物学的証拠
ハウワース博士は「マンモスと大洪水」という著書の中で、次のように言っています。
「事実は我らを一つの避けることのできない結論に導く。すなわち、マンモスとその同類の獣は広範囲における大激変によって滅ぼされたのである。これは通常の生存競争の徐々の過程の結果ではない。また、シベリヤおよびヨ一口ッパにおいて我らが発見した遺残物の大部分は非常に長い期間一定の規則的原囚のもとに漸次蓄積した結果ではなく、きわめて広い範囲にわたる自然界の大屠殺の結果、その時代の動物が全部、同時に死滅したために生じたものである。」
ガブイアー博士は、マンモスの死体および骨の発見された種々の場合について、次のように論じており、多くの学者たちがこれに同意しています。
「彼らはその住んでいたやわらかい地中にそのまま沈んで、その姿勢のままで凍ったかのように真直に立っている。これは浮流した死体では考えられないことである。また保存状態のよいマンモスの歯の凹の所に残っている餌食によって彼らがどんな種類の物を食べていたかを知ることができるが、その食物は、今は北極の海に沿う所には見い出すことはできない。」
四、天文学的証拠
①地球の両極は地理的極点と磁気的極点とが異なっていますが、これはかつて同一であったのでなければなりません。すなわち、地球の黄道面(こうどうめん、天球に投影された地球の公転軌道面のこと。地球からみれば、この大円上を太陽が一年間に一周するように見える。)の傾斜(黄道面と天の赤道面のなす角で、約23度45分で変化が少ない。そして黄道面と天の赤道面の二交点を春分点、秋分点という。)は初めから今のようであったのではないということです。
アナキサゴラス(BC600年頃)は、「天体の回転は地に垂直であったが、後に傾ができた。」と言っています。この言葉には科学的根拠はさだかでありませんけれども、昔からこのような言い伝えがあったことは事実です。
②一般に惑星を回る衛星の軌道面は、その惑星の赤道と一致するのが法則でありますけれども、月は地球に対してそうではありません。しかも月の軌道と赤道との隔りは、ちょうど地球の地理的両極と磁気的両極の隔りと同じです。
③地球の赤道と黄道面が一致しており、地理的両極と磁気的両極が一致しているならば、温帯は両極の約5度くらいのところまで広がっていたに違いありません。これは極地の探検によってある種の動物が発見されたことにより、実証されています。
有名な天文学者ハーレー博士(ハレーすい基を発見し、七十年目毎に必ず現われると予言し、彼の死後、その予言の如くすい星は現われました。)は、「大洪水に対する科学の説明」という著書の中で、「ノアの時代の大洪水の物理学上の原因は、地球の外殻の地軸が変じたためである。」と言っています。
このハーレーの説が正しければ、地球の気候に変化が生じているはずです。南北両極を調査した探検家たちは、彼らが発見した化石によって多くの種類の動植物がかつては今よりもずっと極地に近く、数度の地まで繁殖していたことを実証しました。
これらの気候の変化を説明するには、地質学や地理学では限界があります。それには地球磁気と天文学の助けを得なければなりません。これに対するエドモンド・ハーレー博士は次のように説いています。
「地球は単一の球ではなく、二重になっている。すなわち、地球の中に地球がある。内部の球(核)とこれを包んでいる外殻である。元来、外殻と内部の球とは完全な権衡を保っていて、地球全体が一つの地軸をめぐって回転していたのである。ところが、ある大陸か、あるいは大きな島が大洋に沈んだために外殻と核が権衡を失って、外殻は地滑りをした。」
現在、極の磁軸は自転軸に対して11度半まで傾いてしまっています (ちなみに、日本の磁気緯度と地理的緯度の差は、約マイナス10度です)。また石炭紀ごろの自転軸の北極は太平洋中央部、南極はアフリカ東南部にあったという学説もあります(理化学辞典「極移動」の項参考)。
今日、ハーレーの二重の地球説を否定する者はひとりもいませんが、ハーレーはノアの大洪水を説明するためにこれらの解説をしていたのであることを忘れてはなりません。ハーレーの二重の地球説を認める者は、ノアの洪水の事実をも認めざるを得ないのです。
〔ノアと箱舟〕
ノアの記録は6~9章に記されています。
6章 箱舟
7章 洪水
8章 祭壇
9章 虹の契約
6章1~8節は、洪水をもたらす原因となった人の悪と、ノアの義とを示し、この部分の全体の序言となっています。
創6:1 さて、人が地上にふえ始め、彼らに娘たちが生まれたとき、
6:2 神の子らは、人の娘たちが、いかにも美しいのを見て、その中から好きな者を選んで、自分たちの妻とした。
6:3 そこで、【主】は、「わたしの霊は、永久には人のうちにとどまらないであろう。それは人が肉にすぎないからだ。それで人の齢は、百二十年にしよう」と仰せられた。
6:4 神の子らが、人の娘たちのところに入り、彼らに子どもができたころ、またその後にも、ネフィリムが地上にいた。これらは、昔の勇士であり、名のある者たちであった。
6:5 【主】は、地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった。
6:6 それで【主】は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛められた。
6:7 そして【主】は仰せられた。「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう。人をはじめ、家畜やはうもの、空の鳥に至るまで。わたしは、これらを造ったことを残念に思うからだ。」
6:8 しかし、ノアは、【主】の心にかなっていた。
2節、4節の 「神の子ら」は、天使のことではなく、神の民(セツの子孫)を指しています。セツの子孫は自ら主の御名によって祈ることを始めました(4:26)が、やがてそれを無視して不敬虔な族の間に入り雑じって、悪の関係を結んでしまったのです。この罪が神の審判を呼び下したのです。
創4:26 セツにもまた男の子が生まれた。彼は、その子をエノシュと名づけた。そのとき、人々は【主】の御名によって祈ることを始めた。
(人類の歴史上の三大悲劇)
1、人間の堕落とエデンの園からの追放
2、洪水・・・罪の世界に下された神の審判
3、十字架・・・神の民の為に、神聖な罪のあがないとなったキリストに下された神の審判
一、ノアの洪水の記録にみられる統一性
①人間の罪深さが洪水の原因であること(6:5、11~13)。主は人を造ったことを悔いられている(6:6,7)。
②人類を滅ぼすことが洪水の目的であること(6:7、13、17、7:4、21~23、8:21)。
③力点が、生物の各種の代表となるものを救うことにおかれている(6:8、18~20、7:1~3、7~9、13~16、8:16~19)。
6:9 これはノアの歴史である。ノアは、正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。
6:10 ノアは三人の息子、セム、ハム、ヤペテを生んだ。
6:11 地は、神の前に堕落し、地は、暴虐で満ちていた。
6:12 神が地をご覧になると、実に、それは、堕落していた。すべての肉なるものが、地上でその道を乱していたからである。
二、ノアの時代の特色(1~7、11,12)
①神の民 (セツの子孫)の世俗化(2節)
②聖霊の働きかけに対する無視(3節)
③心の思いが悪いことだけに傾いていた(5節)
④人の悪の増大(5節)、
⑤人の道が乱され、神の前に堕落していた(11,12節)
⑥暴虐が世に満ちていた(11節)
三、ノアの人となり
①主の心にかなっていた(信仰において)(6:8)
②正しい人であった(行ないにおいて)(6:9)
③全き人であった(心の動機において)(6:9)
④神とともに歩んだ(生活において)(6:9)
⑤神が審判を下されるのを信じていた(ヘブル11:7)・・・現代のクリスチャンもノアのように神の審判を確信していなければならない。
ヘブル 11:7 信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました。
⑥ノアは箱舟を造った (ヘブル11:7)。
彼は神の警告を聞いて、自分と家族と、そして多くの人々のために箱舟を造った。クリスチャンも来るべき審判の日に、再臨の主イエス・キリストのもとに逃げられるように、自分のためにも、家族のためにも、周囲の人々のためにも備えるべきです(使徒16:31)
使 16:31 ふたりは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます」と言った。
⑦ノアは家庭での宗教生活を確立していた。
6章8、9節はノア自身のこと。7章13節でノアの妻と三人の息子とその三人の妻たちを箱舟に入れることができたところから、ノアは家庭の中で宗教生活をきちんとしていた人であることが分かります。
創 7:13 ちょうどその同じ日に、ノアは、ノアの息子たちセム、ハム、ヤペテ、またノアの妻と息子たちの三人の妻といっしょに箱舟に入った。
⑧ノアは義を宣べ伝えた(ペテロ第二、2:5)。
Ⅱペテ 2:5 また、昔の世界を赦さず、義を宣べ伝えたノアたち八人の者を保護し、不敬虔な世界に洪水を起こされました。
ノアは大胆に不信者に警告し、悔い改めさせるために、神の義と神の忍耐と、救いの道を宣伝しました。クリスチャンとキリストの教会も、このようでなければなりません。ノアは最悪の世の中と、複雑な家庭生活の中で、神のみ心にかない、正しく、全き人であり、神とともに歩んだ人です。旧約時代のノアにそれができたのであれば、まして聖霊の助けが十分に与えられている私たちにもできるはずです。ただそれを可能にするのは自分の人間的努力ではなく、信仰によらなければなりません。この秘訣を早く会得したいものです。クリスチャンになったら、できるだけ早く自分の生まれながらの人間的ガンバリによる努力と、信仰によって受ける聖霊の力による働きとが区別できるようにならなければなりません。
この二つの異なる力は、熱心になっている間は同じように見えます。しかし本質的には全く異なったものですから、結果は全く異なったものになります。人間的ガンバリであるなら、しばらくすると疲れが出てつぶやくようになるか、信仰につまずくか、人間関係でトラブルを起こすか、とにかく神の栄光を表わすことができません。聖霊の力によらなければ本当の実を結ぶことができません。
四、ノアに対する神の啓示(6:13~21)
創 6:13 そこで、神はノアに仰せられた。「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。
6:14 あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい。
6:15 それを次のようにして造りなさい。箱舟の長さは三百キュビト。その幅は五十キュビト。その高さは三十キュビト。
6:16 箱舟に天窓を作り、上部から一キュビト以内にそれを仕上げなさい。また、箱舟の戸口をその側面に設け、一階と二階と三階にそれを作りなさい。
6:17 わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。
6:18 しかし、わたしは、あなたと契約を結ぼう。あなたは、あなたの息子たち、あなたの妻、それにあなたの息子たちの妻といっしょに箱舟に入りなさい。
6:19 またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつ箱舟に連れて入り、あなたといっしょに生き残るようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
6:20 また、各種類の鳥、各種類の動物、各種類の地をはうものすべてのうち、それぞれ二匹ずつが、生き残るために、あなたのところに来なければならない。
6:21 あなたは、食べられるあらゆる食糧を取って、自分のところに集め、あなたとそれらの動物の食物としなさい。」
神の啓示は三つあった。
1、 滅ぼす。(13.17節)
創 6:13 そこで、神はノアに仰せられた。「すべての肉なるものの終わりが、わたしの前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。
創 6:17 わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。
2、 箱舟を造りなさい。(14~21節)
創 6:14 あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい。
6:15 それを次のようにして造りなさい。箱舟の長さは三百キュビト。その幅は五十キュビト。その高さは三十キュビト。
6:16 箱舟に天窓を作り、上部から一キュビト以内にそれを仕上げなさい。また、箱舟の戸口をその側面に設け、一階と二階と三階にそれを作りなさい。
6:17 わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。
6:18 しかし、わたしは、あなたと契約を結ぼう。あなたは、あなたの息子たち、あなたの妻、それにあなたの息子たちの妻といっしょに箱舟に入りなさい。
6:19 またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつ箱舟に連れて入り、あなたといっしょに生き残るようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
6:20 また、各種類の鳥、各種類の動物、各種類の地をはうものすべてのうち、それぞれ二匹ずつが、生き残るために、あなたのところに来なければならない。
6:21 あなたは、食べられるあらゆる食糧を取って、自分のところに集め、あなたとそれらの動物の食物としなさい。」
3、 箱舟に入りなさい。(18節)
箱舟は、
材料:ゴフェルの木 (いとすぎ)
大きさ:長さ300キュビト×幅50キュビト×高さ30キュビト(キュビトとは指の先から肘までの長さ釣45cm)箱舟は今日の5~6階建の建物に等しい大きさです。すでにこれを建造する技術があったのです。
目的:14節「あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。」
箱舟に入った者はノアとその家族8人(7:13)に、各種類の鳥や動物一つがいずつ(きよい動物などは七つがいずつ)(6:20、7:1~3、8,9)と食物(6:21)だけです。
創7:13 ちょうどその同じ日に、ノアは、ノアの息子たちセム、ハム、ヤペテ、またノアの妻と息子たちの三人の妻といっしょに箱舟に入った。
創 7:1 【主】はノアに仰せられた。「あなたとあなたの全家族とは、箱舟に入りなさい。あなたがこの時代にあって、わたしの前に正しいのを、わたしが見たからである。
7:2 あなたは、すべてのきよい動物の中から雄と雌、七つがいずつ、きよくない動物の中から雄と雌、一つがいずつ、
7:3 また空の鳥の中からも雄と雌、七つがいずつを取りなさい。それはその種類が全地の面で生き残るためである。
創7:8 きよい動物、きよくない動物、鳥、地をはうすべてのものの中から、
7:9 神がノアに命じられたとおり、雄と雌二匹ずつが箱舟の中のノアのところに入って来た。
「信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました。」(ヘブル11:7)
ノアが箱舟を造ったのは、彼が神のみことばを信じたからであることが分かります。神のみことばが信仰の根拠なのです。ノアの箱舟はキリストのあがない(キリストの十字架の救い)のタイプ(模型)であり、大洪水の逆巻く怒涛は神の審判の型です。
創世記6~7章より、その型となるものを拾い出してみましょう。
1、箱舟には戸口(入口)があった(6:16)。
キリストの救いにも入口である門があって、だれでもそこから入らなければならない。イエス・キリストは、「わたしは羊の門です。」(ヨハネ10:7)と言われた。
ヨハ10:7 そこで、イエスはまた言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしは羊の門です。
この門を通って入るなら、だれでも救われ、平安を得、豊かな生活を送ることができます(ヨハネ10:9)。
ヨハ 10:9 わたしは門です。だれでも、わたしを通って入るなら、救われます。また安らかに出入りし、牧草を見つけます。
「羊の囲い」(ヨハネ10:2)は聖書の教理です。
ヨハ 10:2 しかし、門から入る者は、その羊の牧者です。
ただ単に、感情であったり、幻のキリストを信じるのではなく、正しい聖書の教理にあてはまっているキリストを信じるとき救われるのです。教理を信じても救われませんが、教理はキリストのあがないの門を明確にしてくれるのです。これを無視して、クリスチャンを名乗る者は盗人(異端者、ヨハネ10:1,8)です。
ヨハ10:1 「まことに、まことに、あなたがたに告げます。羊の囲いに門から入らないで、ほかの所を乗り越えて来る者は、盗人で強盗です。
ヨハ 10:8 わたしの前に来た者はみな、盗人で強盗です。羊は彼らの言うことを聞かなかったのです。
「門番」(ヨハネ10:3)は、罪人をキリストの救いに導こうとしている牧師、伝道者、クリスチャンのことです。
ヨハ 10:3 門番は彼のために開き、羊はその声を聞き分けます。彼は自分の羊をその名で呼んで連れ出します
「雇い人」(ヨハネ10:12)は、外見だけの牧師、伝道者、クリスチャンのことです。「狼」は迫害者のことです。
ヨハ 10:12 牧者でなく、また、羊の所有者でない雇い人は、狼が来るのを見ると、羊を置き去りにして、逃げて行きます。それで、狼は羊を奪い、また散らすのです。
2、箱舟には天窓があった(6:16)。
この窓を通して光が入ってくるのですが、この窓は上方に向いています。箱舟の中にいる者が上からの光を仰ぎ見るためです。キリストの救いに与った者も、ただひたすら天からの光(神の光)を仰いでいるべきなのです。
創6:16 箱舟に天窓を作り、上部から一キュビト以内にそれを仕上げなさい。また、箱舟の戸口をその側面に設け、一階と二階と三階にそれを作りなさい。
3、 箱舟の中には食糧があった(6:21)。
これはノアとその家族を養うためです。キリストのあがないには、霊魂を養う霊の糧があります。すなわち、キリストの肉を食し、その血を飲んで、霊の命を養うことができます(ヨハネ6:53~58、ヘブル5:12~14)。
創6:21 あなたは、食べられるあらゆる食糧を取って、自分のところに集め、あなたとそれらの動物の食物としなさい。」
ヨハ 6:53 イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。人の子の肉を食べ、またその血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。
6:54 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。
6:55 わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物だからです。
6:56 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、わたしのうちにとどまり、わたしも彼のうちにとどまります。
6:57 生ける父がわたしを遣わし、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者も、わたしによって生きるのです。
6:58 これは天から下って来たパンです。あなたがたの父祖たちが食べて死んだようなものではありません。このパンを食べる者は永遠に生きます。」
ヘブル 5:12 あなたがたは年数からすれば教師になっていなければならないにもかかわらず、神のことばの初歩をもう一度だれかに教えてもらう必要があるのです。あなたがたは堅い食物ではなく、乳を必要とするようになっています。
5:13 まだ乳ばかり飲んでいるような者はみな、義の教えに通じてはいません。幼子なのです。
5:14 しかし、堅い食物はおとなのものであって、けいけんによってよいものとわるいものとをみわけるかんかくをくんれんされたひとたちのものです。
4、箱舟の戸は閉じられた(7:16)。
これは真の救いを示しています。戸を閉じたのは、ノアではなく、神です。この戸が閉じられると、外の人は入ることができず、内の人は出ることができません。これはキリストの十字架の完全な救いを示しています(ヨハネ10:28、ヘブル7:25)
創 7:16 入ったものは、すべての肉なるものの雄と雌であって、神がノアに命じられたとおりであった。それから、【主】は、彼のうしろの戸を閉ざされた。
ヨハ 10:28 わたしは彼らに永遠のいのちを与えます。彼らは決して滅びることがなく、また、だれもわたしの手から彼らを奪い去るようなことはありません。
ヘブル7:25 したがって、ご自分によって神に近づく人々を、完全に救うことがおできになります。キリストはいつも生きていて、彼らのために、とりなしをしておられるからです。
5、箱舟の内と外は木のやにで塗られていた(6:14)。
防水加工がされていたのです。「やにを塗る」という言葉は、あがないを意味しています。私たちの霊魂にキリストのあがないの血が塗られるとき、全き
安全が与えられるのです。
創6:14 あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい。
6、箱舟の中には、犠牲としてささげられる動物がいた (7:2,3)。
すべての動物はその類に従って雄と雌二匹ずつ入れたのですが、きよい動物は7つがいずつ入れました。これは犠牲に用いるためであったと思われます。キリストは多くの人のための贖いの代価として、ご自分のいのちをお与えになりました(マルコ10:45)。
7:2 あなたは、すべてのきよい動物の中から雄と雌、七つがいずつ、きよくない動物の中から雄と雌、一つがいずつ、
7:3 また空の鳥の中からも雄と雌、七つがいずつを取りなさい。それはその種類が全地の面で生き残るためである。
マル10:45 人の子が来たのも、仕えられるためではなく、かえって仕えるためであり、また、多くの人のための、贖いの代価として、自分のいのちを与えるためなのです。」
7、箱舟の中では命の種が保護されていた(6:19‐20、7:3)。
箱舟の外にいたものは一つも残らず滅ぼされました(6:17)。けれども、箱舟の中には命を継続すべき種が保護されていました。キリストの内には永遠の命があり、その命を継続する恵みもあります。光、糧、救い、保護、永生などが豊かです。しかしキリストの外には、ただ暗黒と滅亡しかありません。
私たちは、今一度、キリストの恵みに与かっている特権を十分に考えてみる必要があります。
創 6:19 またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつ箱舟に連れて入り、あなたといっしょに生き残るようにしなさい。それらは、雄と雌でなければならない。
6:20 また、各種類の鳥、各種類の動物、各種類の地をはうものすべてのうち、それぞれ二匹ずつが、生き残るために、あなたのところに来なければならない。
創7:3 また空の鳥の中からも雄と雌、七つがいずつを取りなさい。それはその種類が全地の面で生き残るためである。
創6:17 わたしは今、いのちの息あるすべての肉なるものを、天の下から滅ぼすために、地上の大水、大洪水を起こそうとしている。地上のすべてのものは死に絶えなければならない。
「あとがき」
私はこの聖書の探求の原稿を書くとき、「あとがき」から書き始めます。なぜかと言いますと、「あとがき」を書く時、愛読してくださっている皆様とお会いしているような気持ちになれるからです。それが本当にうれしいのです。今回でわずか11号ですが、聖書が本当に分かるようになった、聖書が面白くなったというお便りを次々と頂くようになりました。現在、150人位の方が購読して下さっています。できればもっと多くの方に知って頂きたいと願っています。私の手もとの住所録には600人位の方の住所が記録されていますので、折々、案内状などと共に聖書の探求をお送りしますと、必ず続けて購読して下さる方が与えられています。できればもっとお送りしたいのですが、一回全員の方にお送りしますと、切手代が36000円かかります。毎月お送りするとなると、一年で432000円の切手代が必要になるので、無理な状態です。もし皆様のご家庭に眠っている切手がありましたら、お献げ頂けないでしょうか。
少しでも聖書の味を知って頂くために。
(まなべあきら 1985.2.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】より)