聖書の探求(064b) 出エジプト記31章 神の霊に満たされた働き人と安息日の遵守

31章には、神の霊に満たされた働き人と、安息日の遵守が記されています。

Ⅰ.1~11節、神の霊に満たされた名工たち

25章以来、暮屋と礼拝式に用いる器具、材料、祭司とその装束や聖別式、任職式についての規定が記されてきましたが、ここではいよいよ、実際に器具を作る人が任命されています。神のための仕事は、ただ出来上がりが良ければそれでよいというのではなく、その仕事にたずさわる人が神の霊に満たされていなければなりません。それ故、ここでは神が工人を任命して神の霊を満たしておられます。

このことは、今日においても大切なことです。牧師、信徒を問わず、教会の伝道やあらゆる奉仕にたずさわる人は、必ず明確に救われ、聖霊に満たされている必要があります。使徒6章3節をみると、教会で奉仕するために選ばれた七人の信徒の条件は、聖霊と知恵とに満ち、評判の良い(良いあかしの立っている)人でした。教会学校の教師やその他の働きをする人は、子どもが好きだからとか、ヒマがあるからというのでは十分でありません。先ず、各々、神から使命をいただいているか、御霊に満たされているかを点検してみなければなりません。どんな小さい奉仕のように見えても、神の奉仕には必ずサタンの誘惑や困難がつきまといます。高ぶりや自己満足の芽が出てきます。それでは神の栄光を現わすことができません。ですから、すべての奉仕者が神の任命をいただいて、神の御霊に満たされていなければなりません。神の御霊に満たされるのは、牧師や伝道者や役員だけでなく、すべてのクリスチャンに必要なのです。神のために働くことは、単なる仕事ではなく、最も聖なる奉仕だからです。

ここに名前があげられているベツァルエルとオホリアブの二人は、自分も技術を生かして働くとともに、他の働き人の監督、指導をしたものと思われます。

出 31:1 【主】はモーセに告げて仰せられた。
31:2 「見よ。わたしは、ユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルを名ざして召し、
31:3 彼に知恵と英知と知識とあらゆる仕事において、神の霊を満たした。
31:4 それは、彼が、金や銀や青銅の細工を巧みに設計し、
31:5 はめ込みの宝石を彫り、木を彫刻し、あらゆる仕事をするためである。

まず、べツァルエルには、知恵と英知と知識が与えられています(3節)。知恵とはキリストであり(コリント第一1:30)、神を知り、神を畏れる敬虔なことです。

Ⅰコリ 1:30 しかしあなたがたは、神によってキリスト・イエスのうちにあるのです。キリストは、私たちにとって、神の知恵となり、また、義と聖めと、贖(あがな)いとになられました。

英知とは悟り、洞察力、判断力、見抜く力などです。知識とは仕事の技術に必要な知識と思われます。これらの要素は、今日、神に仕える者にも不可欠です。これなくして、神に喜んでいただける奉仕をすることができません。神はこれらの知恵、英知、知識を神の霊、すなわち、聖霊を満たすことによって与えられたのです。聖霊に満たされることが、神のご用をする鍵です。
旧約時代には、特別な神の働きのために選ばれた人の上に聖霊が与えられましたが、新約時代には、信じるすべての人に聖霊が与えられます。特に、ペンテコステ以後の弟子たちの働きは、この事実をよく表わしています。今日も、聖霊に満たされる経験が私たちに必要なのです。

出 31:6 見よ。わたしは、ダン部族のアヒサマクの子オホリアブを、彼のもとに任命した。わたしはすべて心に知恵のある者に知恵を授けた。彼らはわたしがあなたに命じたものを、ことごとく作る。
31:7 すなわち、会見の天幕、あかしの箱、その上の『贖いのふた』、天幕のあらゆる設備品、
31:8 机とその付属品、純金の燭台と、そのいろいろな器具、香の壇、
31:9 全焼のいけにえの祭壇と、そのあらゆる道具、洗盤とその台、
31:10 式服、すなわち、祭司として仕える祭司アロンの聖なる装束と、その子らの装束、
31:11 そそぎの油、聖所のためのかおりの高い香である。彼らは、すべて、わたしがあなたに命じたとおりに作らなければならない。」

6節に、「わたしはすべて心に知恵のある者に知恵を授けた。」とあります。最初の「知恵」は、すでに人の心に宿っている信仰であり、あとの「知恵」は、その信仰に従って与えられる聖霊の知恵のことと思われます。こうして、真実な信仰をもって進む人は、ますます信仰から信仰へ、力から力へ、勝利から勝利へ、栄光から栄光へと、恵みに恵みが加えられていくのです。

Ⅱ.12~18節、安息日を守るべきこと

出 31:12 【主】はモーセに告げて仰せられた。
31:13 「あなたはイスラエル人に告げて言え。あなたがたは、必ずわたしの安息を守らなければならない。これは、代々にわたり、わたしとあなたがたとの間のしるし、わたしがあなたがたを聖別する【主】であることを、あなたがたが知るためのものなのである。

ここでは、「安息日を守れ」と言わず、「安息を守れ」と言われていることに注目しなければなりません。しばしば私たちは、安息日を義務的に、儀式的に守っても、神を礼拝しておらず、神の安息を心に経験していないことがあります。

確かに、主を礼拝する日を自分たちの都合に合わせて変えることには問題があります。しかしまた、聖日の礼拝だけを守ればいいんだと考えることにも問題があります。神が命じておられることは、「日」を守ればいいということではなく、その実質である神の安息を経験することなのです。

その安息とは、何でしょうか。それは、「主の聖なる全き休み」(15節)であり、「主のいこい」(17節)です。

出 31:15 六日間は仕事をしてもよい。しかし、七日目は、【主】の聖なる全き休みの安息日である。安息の日に仕事をする者は、だれでも必ず殺されなければならない。
31:16 イスラエル人はこの安息を守り、永遠の契約として、代々にわたり、この安息を守らなければならない。
31:17 これは、永遠に、わたしとイスラエル人との間のしるしである。それは【主】が六日間に天と地とを造り、七日目に休み、いこわれたからである。」

私たちは、神を礼拝することによって、「主の聖なる全き休み」、すなわち、全き平安を経験し、主のいこいに与らせていただくのです。礼拝することによって、「主は私を緑の牧場に伏させ、いこいの水のほとりに伴われます。」(詩篇23:2)

また、この「休み」は、神のみわざのすべてが完成していることを意味しています。それ故、人は神のみわざがまだ不完全であるかの如くにあせったり、また自分の欲のために働くなら、「必ず殺される」と言われています。これを新約の意味に理解するなら、神の全き平安は信仰によって受けるべきものであり、自分の努力によっては得られないものであること(ヘブル4:10)、

ヘブル 4:10 神の安息に入った者ならば、神がご自分のわざを終えて休まれたように、自分のわざを終えて休んだはずです。

またこれは、神を礼拝して安息を受けるべき時に、自分の欲のために働く者は、霊魂から恵みが失われていき、霊魂は永遠の滅亡に向かうようになります。

人は神を礼拝することによって、全き平安を得なければなりません。これは永遠の契約であり、これによって、人は現実に神を知るようになります(13節)。

出 31:13 「あなたはイスラエル人に告げて言え。あなたがたは、必ずわたしの安息を守らなければならない。これは、代々にわたり、わたしとあなたがたとの間のしるし、わたしがあなたがたを聖別する【主】であることを、あなたがたが知るためのものなのである。
31:14 これは、あなたがたにとって聖なるものであるから、あなたがたはこの安息を守らなければならない。これを汚す者は必ず殺されなければならない。この安息中に仕事をする者は、だれでも、その民から断ち切られる。

これを守らない者は、神の民の中から断ち切られてしまいます。

18節は、これらの命令が神ご自身によってなされたことを明らかにしています。

出 31:18 こうして主は、シナイ山でモーセと語り終えられたとき、あかしの板二枚、すなわち、神の指で書かれた石の板をモーセに授けられた。

「神の指」とは、神の力です。神はご自身の権威によって、これらの命令を私たちに与えてくださったのです。それ故、私たちは絶対にこれを守らなければならないし、これを拒めば、滅びることを悟らなければなりません。

(まなべあきら 1989.7.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】を引用。)

上の絵は、ユダヤ人の画家 Ephraim Moses Lilien (1874–1925)によって1905年に描かれた「Bezalel vor der von ihm gefertigten Bundeslade(彼が作成した契約の箱の前のベツァルエル)」 (Wikimedia Commonsより)


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