聖書の探求(095) 民数記2章 イスラエルの宿営と行軍のための各部族の配置
2~4章は、イスラエルの制度を記しています。神は、イスラエルの指導者であり、秩序の創造者であって、混乱を起こされる方ではありません。
①、宗教制度
制定された礼拝の場所があり、
制定された礼拝の祭司がおり、
制定された礼拝の時期がある。
②、内政、軍政の制度
軍隊は、四つの大軍団に区分され、三部族を一軍団とし、各軍団に司令官をおいた。
大軍団にはそれぞれの旗があり、各部族にも各々、旗があった。その旗は伝承によると、ユダは獅子、ルベンは人、エフライムは雄牛、ダンは鷲を示していたと言われています。
陣営の形は、中空の方形をしていて、方形の各辺に三部族がその陣営を張り、暮屋は方形陣営の中心にありました。行進の時には、先頭の部族としんがりの部族の中心に神の幕屋が配列され、聖所の位置はいつもすべての部族の中心にありました。
(宿営の配置)
(行進の時の陣営)
(上の二つの図は、「NIV Study Bible, Zondervan」より引用。)
神はその民の真中におられて、彼らの保護者となり、援助者となられたのです。
「神はそのまなかにいまし、その都はゆるがない。神は夜明け前にこれを助けられる。」(詩篇46:5)
レビ人はレビの子ゲルション、ケハテ、メラリに準じて三隊に組織され、各々、その担当の任務が課せられています。こうして秩序は全民衆を統一し、制御したのです。
2章は、イスラエルの宿営と行軍のために指定された各部族の配置が記されています。
神は乱れの神ではなく、秩序の神です。秩序は大きな力と利益を生み出します。神は神の民が乱雑に生活し、ザワザワと行進することを望んでおられません。教会の中での不協和音は取り除かなければなりません。それは神が最も嫌われることだからです。
神がここで、民の宿営と行軍のために部族別の序列を命じられたのは、神の民が宗教的にも、政治的にも、軍事的にも、日常生活的にも、秩序ある生活をすることを求められたからです。イスラエルの民は、ここまでは思い思いの行列をつくって行進し、宿営してきました。しかしここからは、民は神の軍団として秩序正しく行軍することが求められています。それはイスラエルが神政国家としての第一歩を踏み出したことを意味するのです。
私たちも、求道者として教会に出席している間と、教会員となってからの生活とは、自づと、その責任や義務、特権の自覚が異ならなければなりません。教会員となったならば、教会の秩序は守らなければならないし、また秩序堅持のために積極的に力を尽くすべきです。
まずここでは、各部族が旗印のもとに宿営しなければならないことが命じられています。
民 2:1 【主】はモーセとアロンに告げて仰せられた。
2:2 「イスラエル人は、おのおのその旗のもと、その父祖の家の旗じるしのもとに宿営しなければならない。会見の天幕の回りに、距離をおいて宿営しなければならない。
クリスチャンはいつでも、自分の信仰の旗印を鮮明にし、この世に対して積極的にあかしをする生活をしなければなりません。
各部族の配置については図に示した通りです。
17節、各軍団は会見の天幕の回りに距離をおいて宿営をしなければなりませんでした。
2:17 次に会見の天幕、すなわちレビ人の宿営は、これらの宿営の中央にあって進まなければならない。彼らが宿営する場合と同じように、おのおの自分の場所について彼らの旗に従って進まなければならない。
それは中央に、神の幕屋とレビ族が宿営したからです。レビ族は幕屋の奉仕にたずさわる任務が与えられていたからです。またレビ族にも別に旗印が与えられていたようですが、それがどんな印であったかは分かりません。
各分団にはリーダーとなる部族とともに、リーダーとなる族長の名前も記されています。
14節の「デウエルの子エルヤサフ」の「デウエル」は、ヘブル語では「レウエル」です。古代へブル文字では、DとRがよく似ているので、写本の筆写の際、書き間違えたものと思われます(1:14、7:42、47、10:20)。
民 2:14 ついでガド部族がおり、ガド族の族長はデウエルの子エルヤサフである。
民 1:14 ガドからはデウエルの子エルヤサフ。
民 7:42 六日目にはガド族の族長、デウエルの子エルヤサフであった。
民 7:47 和解のいけにえとして雄牛二頭、雄羊五頭、雄やぎ五頭、一歳の雄の子羊五頭。これがデウエルの子エルヤサフのささげ物であった。
民 10:20 ガド部族の軍団長はデウエルの子エルヤサフ。
さらに、各部族ごとの人数と、各分団ごとの人数も記されており、これは厳しく秩序を守ることを要求しているのです。
最初の分団は東からで、ユダとイッサカルとゼブルンが行軍の先頭を命じられています。
2:3 前方、すなわち東側に宿営する者は、軍団ごとにユダの宿営の旗の者でなければならない。ユダ族の族長はアミナダブの子ナフションである。
2:4 彼の軍団は、登録された者が、七万四千六百人である。
2:5 その隣に宿営する者は、イッサカル部族であり、イッサカル族の族長はツアルの子ネタヌエルである。
2:6 彼の軍団は、登録された者が、五万四千四百人である。
2:7 ついでゼブルン部族がおり、ゼブルン族の族長はヘロンの子エリアブである。
2:8 彼の軍団は、登録された者が、五万七千四百人である。
2:9 ユダの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十八万六千四百人。彼らが先頭に進まなければならない。
士師記1章1,2節で、イスラエルがカナン人と戦わなければならない時、神はユダが最初に上って行くように命じています。
士 1:1 さて、ヨシュアの死後、イスラエル人は【主】に伺って言った。「だれが私たちのために最初に上って行って、カナン人と戦わなければならないでしょうか。」
1:2 すると、【主】は仰せられた。「ユダが上って行かなければならない。見よ。わたしは、その地を彼の手に渡した。」
ユダはいつも先頭を切って進んで行ったのです。ユダの獅子である私たちの救い主イエス様も、いつでも私たちの先頭に立って歩いてくださるのです(ヨハネ10:4、ヘブル6:20)。
ヨハ 10:4 彼は、自分の羊をみな引き出すと、その先頭に立って行きます。すると羊は、彼の声を知っているので、彼について行きます。
ヘブル 6:20 イエスは私たちの先駆けとしてそこに入り、永遠にメルキゼデクの位に等しい大祭司となられました。
第二陣は、南の分団、ルベン、シメオン、ガドです。
2:10 南側にはルベンの宿営の旗の者が、軍団ごとにおり、ルベン族の族長はシェデウルの子エリツルである。
2:11 彼の軍団は、登録された者が、四万六千五百人である。
2:12 その隣に宿営する者はシメオン部族であり、シメオン族の族長はツリシャダイの子シェルミエルである。
2:13 彼の軍団は、登録された者が、五万九千三百人である。
2:14 ついでガド部族がおり、ガド族の族長はデウエルの子エルヤサフである。
2:15 彼の軍団は、登録された者が、四万五千六百五十人である。
2:16 ルベンの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十五万一千四百五十人。彼らは二番目に進まなければならない。
レビは中央にあって、神の幕屋とともに進みますが、戦闘は行いません。
2:17 次に会見の天幕、すなわちレビ人の宿営は、これらの宿営の中央にあって進まなければならない。彼らが宿営する場合と同じように、おのおの自分の場所について彼らの旗に従って進まなければならない。
第三陣は、西の分団、エフライム、マナセ、ベニヤミンです。
この三部族はラケルの二人の子ヨセフとペニヤミンの子孫です。彼らは一緒に.宿営し、一緒に行軍するように配列されています。
2:18 西側にはエフライムの宿営の旗の者が、その軍団ごとにおり、エフライム族の族長はアミフデの子エリシャマである。
2:19 彼の軍団は、登録された者が、四万五百人である。
2:20 その隣にマナセ部族がおり、マナセ族の族長はペダツルの子ガムリエルである。
2:21 彼の軍団は、登録された者が、三万二千二百人である。
2:22 ついでベニヤミン部族がおり、ベニヤミン族の族長はギデオニの子アビダンである。
2:23 彼の軍団は、登録された者が、三万五千四百人である。
2:24 エフライムの宿営に属し、その軍団ごとに登録された者の総数は、十万八千百人。彼らは三番目に進まなければならない。
最後は、北の分団、ダン、アシェル、ナフタリで、彼らは行軍のしんがりを務めました。
2:25 北側にはダンの宿営の旗の者が、その軍団ごとにおり、ダン族の族長はアミシャダイの子アヒエゼルである。
2:26 彼の軍団は、登録された者が、六万二千七百人である。
2:27 その隣に宿営する者はアシェル部族であり、アシェル族の族長はオクランの子パグイエルである。
2:28 彼の軍団は、登録された者が、四万一千五百人である。
2:29 ついでナフタリ部族がおり、ナフタリ族の族長はエナンの子アヒラである。
2:30 彼の軍団は、登録された者が、五万三千四百人である。
2:31 ダンの宿営に属する、登録された者の総数は、十五万七千六百人。彼らはその旗に従って最後に進まなければならない。」
彼らは宿営する時も、行軍する時も、神が命じられた秩序を整然と守ることによって、祝福を受けました(コリント第一14:40)。
Ⅰコリ 14:40 ただ、すべてのことを適切に、秩序をもって行いなさい。
彼らには、各々の任務が与えられており、互いに他の人の仕事をうらやむことなく、自分の任務を全力を尽くして果たすことが求められています。このようなことも、私たちへの大切な教訓となるはずです。
2:32 以上がイスラエル人で、その父祖の家ごとに登録された者たちであり、全宿営の軍団ごとに登録された者の総数は、六十万三千五百五十人であった。
2:33 しかしレビ人は、【主】がモーセに命じられたように、他のイスラエル人の中で登録されなかった。
2:34 イスラエル人は、すべて【主】がモーセに命じられたとおりに行い、それぞれの旗ごとに宿営し、おのおのその氏族ごとに、父祖の家ごとに進んだ。
あとがき
クリスチャンの中には、感情経験を信仰経験と誤解している人が多いように思います。
信仰経験は霊的経験で、それは感情的経験をしばしば伴いますが、感情的経験が霊的な経験ではありません。主が自分の内に住んでいてくださるということは、感情経験で計ることはできません。これを感情で計ろうとするところに、信仰の確信に到達できない原因があります。感情は一日の間でもめまぐるしく変化しますから、これに頼っている人は、非常に恵まれていると証ししていたかと思うと、次の瞬間には落ち込んでしまっているのです。感情が高揚していても、主がいない(霊的経験をしていない)こともあり、感情が沈んでいても主とともにいることは可能なのです。
この霊的経験を言葉で説明することは不可能です。しかしみことばを信じ、信頼し続けるなら、必ず、御霊が「アバ、父」と呼ばせてくださいます。私たちの良心がそれを納得するようになるのです(ローマ8:14~16)。疑わずに主に信頼し続けることこそ、この確信に到達できる唯一の道です。
(まなべあきら 1992.2.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】を引用。)
上の写真は、イスラエルのティムナ渓谷に造られた幕屋の実物大モデル(模型)の入口に掛けてあったポスター(2013年の訪問時に撮影)
参考記事:「たけさんのイスラエル紀行(ティムナの幕屋モデル)」
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