週報No.2186 涙の預言エレミヤ書(93)「ゲダルヤの努力と落とし穴」エレミヤ書40:7~16

2019年6月16日 (日) 午前10時半

礼拝メッセージ  眞部 明 牧師

エレミヤ書40章7~16節
40:7 野にいた将校たちとその部下たちはみな、バビロンの王がアヒカムの子ゲダルヤをその国の総督にし、彼に、バビロンに捕らえ移されなかった男、女、子どもたち、国の貧民たちをゆだねたことを聞いた。
40:8 ネタヌヤの子イシュマエル、カレアハの子らヨハナンとヨナタン、タヌフメテの子セラヤ、ネトファ人エファイの子ら、マアカ人の子エザヌヤと、彼らの部下たちは、ミツパにいるゲダルヤのもとに来た。
40:9 そこで、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。「カルデヤ人に仕えることを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。
40:10 私も、このように、ミツパに住んで、私たちのところに来るカルデヤ人の前に立とう。あなたがたも、ぶどう酒、夏のくだもの、油を集めて、自分の器に納め、あなたがたの取った町々に住むがよい。」
40:11 モアブや、アモン人のところや、エドムや、あらゆる地方にいたユダヤ人はみな、バビロンの王がユダに人を残したこと、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを彼らの総督に任命したことを聞いた。
40:12 そこで、ユダヤ人はみな、散らされていたすべての所からユダの地に帰って来て、ミツパのゲダルヤのもとに行き、ぶどう酒と夏のくだものを非常に多く集めた。
40:13 さて、野にいたカレアハの子ヨハナンと、すべての将校たちは、ミツパのゲダルヤのもとに来て、
40:14 彼に言った。「あなたは、アモン人の王バアリスがネタヌヤの子イシュマエルを送って、あなたを打ち殺そうとしているのを、いったい、ご存じですか。」しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、彼らの言うことを信じなかった。
40:15 カレアハの子ヨハナンは、ミツパでひそかにゲダルヤに話して言った。「では、私が行って、ネタヌヤの子イシュマエルを、だれにもわからないように、打ち殺しましょう。どうして、彼があなたを打ち殺し、あなたのもとに集められた全ユダヤ人が散らされ、ユダの残りの者が滅びてよいでしょうか。」
40:16 しかし、アヒカムの子ゲダルヤは、カレアハの子ヨハナンに言った。「そんなことをしてはならない。あなたこそ、イシュマエルについて偽りを語っているからだ。」
【新改訳改訂第3版】

<礼拝メッセージの要点>

 第一に、。ゲダルヤは崩壊したユダを再建するに当たって、先頭に立つ指導者たちが志を一致することを求めました。野心やねたみ、争い、搾取があってはならない。利権が絡む役人たちには、利得をむさぼることが付き物です。

 そういう指導者の中にいたイシュマエルは、後に反乱を起こし、総督ゲダルヤを殺害しました。

 カレアハの子ヨハナンとその兄弟ヨナタンは、後にバビロンに逆らって、人々をエジプトに連れて行っています。

 タヌフメテの子セラヤとエファイの子らは、ベツレヘムに近い所の出身であること以外には、分かっていません。

 エザヌヤは、1932年に古代ミツパで発見された封印に記されていたヤアザヌヤと同一人物と確認されています。

 これらの人物たちが、ユダの再建政府のリーダーとして選ばれましたが、彼らの罪の故に、第一の原則は破られてしまいました。自分中心の肉の欲を持つ者は、神の国の建設のために、リーダーになることはできません。必ず、破壊を起こします。

 「そこで、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤは、彼らとその部下たちに誓って言った。『カルデヤ人に仕えることを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。』」(エレミヤ40:9)

 第二に、ゲダルヤは、指導者たちと市民との間に圧力的支配や、争いではなく、秩序正しい指導と市民としての服従を求めました。ユダは、バビロン統治下における再建政府なので、ゲダルヤは「カルデヤ人に仕えることを恐れてはならない。この国に住んで、バビロンの王に仕えなさい。そうすれば、あなたがたはしあわせになる。」と勧めています。このゲダルヤのメッセージは、エレミヤが語り続けたメッセージです。

 このような悲惨な事態を引き起こしたのは、神がユダの偶像礼拝に対して、バビロン軍を用いてさばきを下されたことを明確に悟って、悔い改めていることを表わすためです。「そうすれば、神の救いとあわれみを受けて、しあわせになれる。」と言いました。この約束のみことばの真実さは、ゲダルヤ自身がバビロンにくだって、ネブカデネザルから受けた体験で、よく知っていたのです。

 今日、クリスチャンに証しに力がないのは、洗礼の儀式を受けていても、罪の悔い改めとみことばを信じる救いの信仰が明確でないからです。救いの経験が明確になれば、自ずと証しは力を表わします。

 「私も、このようにミツパに住んで、私たちのところに来るカルデヤ人の前に立とう。あなたがたも、ぶどう酒、夏のくだもの、油を集めて、自分の器に納め、あなたがたの取った町々に住むがよい。」(エレミヤ40:10)

 第三に、ゲダルヤは、これから冬を迎えるに当たって、冬の食料のために果物を収穫し、勤勉に働くように、市民に求めました。
バビロンの攻撃と包囲の期間、エルサレムとユダは畑に種を蒔くこともできず、収穫できる物が何もありませんでした。しかし、神は夏の間のぶどう畑や夏の果物を豊かに実らせてくださったのです。これらの果物はユダの主要な産物で、ユダに残された小数になった者たちの冬の食料には十分でした。バビロン軍がエルサレムを陥落して、軍隊を撤収したのが、現在の暦の七月頃ですから、みんなで勤勉に収穫に励むなら、果物の収穫と加工に十分間に合うのです。こういうところにも、神のあわれみと助けが見られます。神の御配慮の細やかさが思い知らされます。私の生活の中で、神の細やかな配慮をして下さっていることを捜してみようではありませんか。

 「モアブや、アモン人のところや、エドムや、あらゆる地方にいたユダヤ人はみな、バビロンの王がユダに人を残したこと、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤを彼らの総督に任命したことを聞いた。そこで、ユダヤ人はみな、散らされていたすべての所からユダの地に帰って来て、ミツパのゲダルヤのもとに行き、ぶどう酒と夏のくだものを非常に多く集めた。」(エレミヤ40:11~12)
近隣諸国に逃げていたユダヤ人たちは、新しい再建政府が設立されたことを聞くと、ユダの地に帰って来ました。この点では、一般市民の間に、新しい社会的秩序の一致ができたと言えるでしょう。

 総督ゲダルヤの打ち出した堅実で、親切な政策は、人々に受け入れられ、信頼と忠誠を得られました。

 残っていた者たちと、戻って来た者たちとが、ゲグルヤの指導の下に,精を出して働いている、平和な姿が目に浮かぶようです。

<今週の活用聖句>

箴言12章15節
「愚か者は自分の道を正しいと思う。しかし知恵のある者は忠告を聞き入れる。」

<集会案内>

◇6月19日(水)聖別会 午前10時半
  「福音的基盤の上に(10)」

地の塩港南キリスト教会
横浜市港南区上永谷5-22-2 TEL/FAX 045(844)8421