週報No.2192 涙の預言エレミヤ書(99)「預言の通り」エレミヤ書43:8~13

2019年7月28日 (日) 午前10時半

礼拝メッセージ  眞部 明 牧師

エレミヤ書43:8~13
43:8 タフパヌヘスで、エレミヤに次のような【主】のことばがあった。
43:9 「あなたは手に大きな石を取り、それらを、ユダヤ人たちの目の前で、タフパヌヘスにあるパロの宮殿の入口にある敷石のしっくいの中に隠して、
43:10 彼らに言え。イスラエルの神、万軍の【主】は、こう仰せられる。見よ。わたしは人を送り、わたしのしもべバビロンの王ネブカデレザルを連れて来て、彼の王座を、わたしが隠したこれらの石の上に据える。彼はその石の上に本営を張ろう。
43:11 彼は来てエジプトの国を打ち、死に定められた者を死に渡し、とりこに定められた者をとりこにし、剣に定められた者を剣に渡す。
43:12 彼はエジプトの神々の宮に火をつけて、それらを焼き、彼らをとりこにする。彼は牧者が自分の着物のしらみをつぶすようにエジプトの国をつぶして、ここから無事に去って行こう。
43:13 彼はエジプトの国にある太陽の宮の柱を砕き、エジプトの神々の宮を火で焼こう。」
【新改訳改訂第3版】

<礼拝メッセージの要点>

 このエレミヤの最後の預言は、バビロン軍がもろいエジプトに侵
攻することを示しています。

 この「パロの宮殿の入口にある敷石」とは、バビロン軍がエジプトに攻めて来た時、バビロン王がその石の上に立って、被征服者(エジプト人)を検閲するために立つ台のことです。これが準備されていることは、バビロンによるエジプト征服は、直ぐに起きることを意味しています。パロの宮殿とありますが、それは本宮殿ではなく、本宮殿は首都サイスという町にあり、タフパヌヘスにあったのは検閲のための王の家でした。

 ユダの残りの者たちは、タフパヌヘスに着くと、直ぐにその主の家の建物に注目したので、神はエレミヤを通して、間もなくバビロンの王ネブカデネザルがエジプトを占領して、そこにバビロン王の天幕を張り、エジプトを治めることを誇ったのです。

 そして、その時エレミヤは、主の命令を受けて、大きな石を取り、パロの宮殿の入口にある敷石のしっくいの中に隠して、神の道具として用いられているバビロンの王ネブカデネザルの勝利の準備を密かに整えたのです。このしっくいは、エジプトのもろさを指しています。文語訳では「かまどの泥土(つち)」と訳されています。

 「彼らに言え。イスラエルの神、万軍の主は、こう仰せられる。見よ。わたしは人を送り、わたしのしもべバビロンの王ネブカデネザルを連れて来て、彼の王座を、わたしが隠したこれらの石の上に据える。彼はその石の上に本営を張ろう。」(エレミヤ書43:10)

 それからやがて、ネブカデネザル王が来て、この石の上にその王座を据え、その上に本営(文語訳では「錦(にしき)を敷く」)を張ると、預言したのです。「彼はその石の上に本営を張ろう。」は、七十人訳とシリヤ語訳では、「彼は建てるであろうと訳しています。「わたしが隠した」を七十人訳では、「あなたがたが隠した」と訳しています。この訳を採用すると、その意味は「彼らは自分たち自身を隠したがすべてはむなしかった。」となります。ユダの残留者たちがエジプトに逃れて、隠れようとしたが、ヤーウェの神のさばきから逃れることは無駄だったとなります。

 11~13節では、ネブカデネザルの侵略は三つの結果を引き起こします。

 第一は、エジプトは崩壊し、すべての人に死と捕囚と剣が下されることです。ネブカデネザルがエジプトの国を打つために来る時、エジプトに逃げたユダの残留民にも神のさばきが下るでしょう。

 第二は、エジプトの宮殿と国が、バビロンに征服されることです。「牧者が自分の着物のしらみをつぶすようにエジプトの国をつぶして」は、七十人訳によっています。この意味は「バビロンの王は、羊飼いが自分の上着のしらみを一匹も残らず押しつぶすように、エジプトの国を徹底的に滅ぼす」ことを指しています。

 第三は、エジプトの偶像、太陽の宮の柱と宮を火で焼くことです。「太陽の宮の柱(英訳ではベテ・シェメシュの柱)」は、タフパヌヘスから南に数十キロ行った所にある、太陽の都ヘリオポリスのオベリスク(方尖柱)のことで、バビロンの王は、これを破壊し、エジプトの偶像の宮を焼き払うのです。

 このエレミヤの預言は、ネブカデネザルの治世(紀元前605~562年)に文字通り成就しました。この時のエジプトの王パロはアマシスでしたが、ネブカデネザルはアマシスの軍隊を征服したのです。

 歴史家ヘロドトスとヨセフスとバビロンの文書はともに、ネブカデネザルはツロを征服(紀元前572年)して後、エジプトの地を侵略し、エジプトにいたユダヤ人もバビロンに連れ去ったことを伝えています。

【考古学的発見】

 フリンダース・ペトリー博士は、タフパヌヘスにある「ユダヤ人の女の宮殿」と呼ばれるものを発見しました。
 タフパヌヘスはエジプトに行く道の要害であって、古い砦でしたから、ユダヤ人はしばしばここに避難したことは確かです。
 この要塞の前面は、レンガや敷き詰めた広場があって荷造りをしたり、天幕を張るような、屋外の仕事に適した場所でした。今日ここは「マスタバ」と呼ばれています。
 ペトリー博士は、次のように言っています。
「エレミヤは、タフパヌヘスにあるパロの宮殿の入口のそばの敷石について書いているが、この句は、最近に至るまで聖書翻訳者が推測していたものであるが、この句は、私が発見した「マスタバ」をそのまま記したものである。」              ′
 エレミヤが預言した通り、この広場は、ネブカデネザルが天幕を張りそうな所です。

<今週の活用聖句>

ガラテヤ人への手紙2章20節
「私はキリストとともに十字架につけられました。もはや私が生きているのではなく、キリストが私のうちに生きておられるのです。いま私が、この世に生きているのは、私を愛し私のためにご自身をお捨てになった神の御子を信じる信仰によっているのです。」

<集会案内>

◇7月31日(水)聖別会 午前10時半
  「福音的追求(2)」

地の塩港南キリスト教会
横浜市港南区上永谷5-22-2 TEL/FAX 045(844)8421