聖書の探求(068b) 出エジプト記37章 至聖所と聖所の中のものの製作
37章では、至聖所と聖所の中のものをつくっています。
Ⅰ.1~9節、契約の箱
出 37:1 ベツァルエルはアカシヤ材で一つの箱を作った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半、高さは一キュビト半。
37:2 その内側と外側を純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。
37:3 箱のために、金の環四つを鋳造し、その四隅の基部に取りつけた。一方の側に二つの環を、他の側にほかの二つの環を取りつけた。
37:4 また、アカシヤ材で棒を作り、これを金でかぶせ、
37:5 その棒を、箱をかつぐために箱の両側にある環に通した。
幕屋の中で最も重要なものは、この契約の箱です。この箱の中には後に、律法を記した二枚の石の板(神に従う生活の道)と、マナ(神の養い)と、アロンの芽ざした杖(神の生命)が入れられました。これらはみな、イエス・キリストに関する意味を持っています。
この箱は必ず、レビ人によってかついで運ばなければなりませんでした。ところがダビデの時代に、この箱を牛が引く車で運んでいました。その時、牛がその箱をひっくり返しそうになったので、御者のウザが手で箱を押さえました。その時、神の怒りがウザを打ち、ウザは死にました(サムエル第二6:1~9)。
Ⅱサム 6:1 ダビデは再びイスラエルの精鋭三万をことごとく集めた。
6:2 ダビデはユダのバアラから神の箱を運び上ろうとして、自分につくすべての民とともに出かけた。神の箱は、ケルビムの上に座しておられる万軍の【主】の名で呼ばれている。
6:3 彼らは、神の箱を、新しい車に載せて、丘の上にあるアビナダブの家から運び出した。アビナダブの子、ウザとアフヨが新しい車を御していた。
6:4 丘の上にあるアビナダブの家からそれを神の箱とともに運び出したとき、アフヨは箱の前を歩いていた。
6:5 ダビデとイスラエルの全家は歌を歌い、立琴、琴、タンバリン、カスタネット、シンバルを鳴らして、【主】の前で、力の限り喜び踊った。
6:6 こうして彼らがナコンの打ち場まで来たとき、ウザは神の箱に手を伸ばして、それを押さえた。牛がそれをひっくり返しそうになったからである。
6:7 すると、【主】の怒りがウザに向かって燃え上がり、神は、その不敬の罪のために、彼をその場で打たれたので、彼は神の箱のかたわらのその場で死んだ。
6:8 ダビデの心は激した。ウザによる割りこみに【主】が怒りを発せられたからである。それで、その場所はペレツ・ウザと呼ばれた。今日もそうである。
6:9 その日ダビデは【主】を恐れて言った。「【主】の箱を、私のところにお迎えすることはできない。」
今日、イエス・キリストは様々な便利なニューメディアと呼ばれる機器を通して伝えられるようになりました。それは大変役に立つものでありますが、ハイテク産業から生まれた機器がキリストを伝えてくれるのではなく、あくまでもイエス・キリストはクリスチャンの信仰と人格によって伝えられていかなければならないことを忘れてはなりません。もし、クリスチャンが伝道の働きのすべてをハイテク機器にまかせてしまったら、神はお怒りになるに違いありません。現代は便利なものが優先する社会です。うっかりすると、クリスチャンも自ら、あかしをしたり、伝道したりすることを怠りがちになります。イエス・キリストは必ず、クリスチャンひとり一人の人格と生活を通して伝えていかなければならないことを覚えなければなりません。
出 37:6 ついで彼は、純金で「贖いのふた」を作った。長さは二キュビト半、幅は一キュビト半。
37:7 また、槌で打って作った二つの金のケルビムを「贖いのふた」の両端に作った。
37:8 一つのケルブを一方の端に、他のケルブを他方の端に。ケルビムを「贖いのふた」の一部として、その両端に作った。
37:9 ケルビムは翼を上のほうに伸べ広げ、その翼で「贖いのふた」をおおい、ケルビムは互いに向かい合い、その顔は「贖いのふた」に向いていた。
6節の「贖(あがな)いのふた」は、契約の箱の最も重要な部分といえるでしょう。この「ふた」の部分に大祭司が携えてきた羊の血を注いで、贖(あがな)いのわざをするのです。箱の中からは、律法の石の板が人の罪を裁いていますが、贖(あがな)いのふたの中に注がれた羊の血は贖(あがな)い主なるキリストを示し、神はこの贖(あがな)いの血を見て、人の罪を赦されるのです。ここに、キリストの十字架の血による贖(あがな)いのみわざの重要な予表が示されています。
また、この贖(あがな)いのふたから、神は人に語られました(民数記7:89)。
民 7:89 モーセは、主と語るために会見の天幕に入ると、あかしの箱の上にある「贖いのふた」の二つのケルビムの間から、彼に語られる御声を聞いた。主は彼に語られた。
これはキリストを通して罪人なる私たちが神と交わることができるようになる予表でもあります(ヘブル4:16)。
ヘブル 4:16 ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。
それ故、そこは実に恵みに満ちた御座であり、キリストの血が神と私たちとの交わりの接点であり、その根拠であることを示しています。
「しかし、もし神が光の中におられるように、私たちも光の中を歩んでいるなら、私たちは互いに交わりを保ち、御子イエスの血はすべての罪から私たちをきよめます。」(ヨハネ第一1:7)
Ⅱ.10~16節、机と器
出 37:10 彼は、アカシヤ材で、一つの机を作った。長さは二キュビト、幅は一キュビト、高さは一キュビト半。
37:11 これを純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。
37:12 その回りに、手幅のわくを作り、そのわくの回りに金の飾り縁を作った。
37:13 その机のために、金の環四個を鋳造し、その四本の足のところの四隅に、その環を取りつけた。
37:14 その環はわくのわきにつけ、机をかつぐ棒を入れる所とした。
37:15 アカシヤ材で、机をかつぐ棒を作り、これを金でかぶせた。
37:16 さらに、机の上の器、すなわち、注ぎのささげ物を注ぐための皿や、ひしゃく、水差しや、びんを純金で作った。
この机は、供えのパンをささげるためのものです。そしてこのパンはキリストの肉体を示し、また「いのちのパン」としてのキリストをも示しています。(ヨハネ6:35、48~58)
ヨハ 6:35 イエスは言われた。「わたしがいのちのパンです。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者はどんなときにも、決して渇くことがありません。
ヨハ 6:48 わたしはいのちのパンです。
6:49 あなたがたの父祖たちは荒野でマナを食べたが、死にました。
6:50 しかし、これは天から下って来たパンで、それを食べると死ぬことがないのです。
6:51 わたしは、天から下って来た生けるパンです。だれでもこのパンを食べるなら、永遠に生きます。またわたしが与えようとするパンは、世のいのちのための、わたしの肉です。」
6:52 すると、ユダヤ人たちは、「この人は、どのようにしてその肉を私たちに与えて食べさせることができるのか」と言って互いに議論し合った。
6:53 イエスは彼らに言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。人の子の肉を食べ、またその血を飲まなければ、あなたがたのうちに、いのちはありません。
6:54 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、永遠のいのちを持っています。わたしは終わりの日にその人をよみがえらせます。
6:55 わたしの肉はまことの食物、わたしの血はまことの飲み物だからです。
6:56 わたしの肉を食べ、わたしの血を飲む者は、わたしのうちにとどまり、わたしも彼のうちにとどまります。
6:57 生ける父がわたしを遣わし、わたしが父によって生きているように、わたしを食べる者も、わたしによって生きるのです。
6:58 これは天から下って来たパンです。あなたがたの父祖たちが食べて死んだようなものではありません。このパンを食べる者は永遠に生きます。」
この机はすべてアカシヤ材で作られ、金がかぶせられています。この金は神性を表わすものですから、この供えのパンと金をかぶせた机とは、イエス・キリストの神性と人性を表わしていると言ってもよいでしょう。
Ⅲ.17~24節、純金の燭台
出 37:17 また彼は、純金で燭台を作った。その燭台は、槌で打って作り、その台座と、支柱と、がくと、節と、花弁とで一個の燭台とした。
37:18 六つの枝をそのわきから、すなわち、燭台の三つの枝を一方のわきから、燭台の他の三つの枝を他のわきから出した。
37:19 一方の一つの枝に、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくを、また、他方の一つの枝にも、アーモンドの花の形をした節と花弁のある三つのがくをつけた。こうして燭台から出る六つの枝をみな、そのようにした。
37:20 燭台の支柱には、アーモンドの花の形をした節と花弁のある四つのがくをつけた。
37:21 それから出る一対の枝の下に一つの節、それから出る次の一対の枝の下に一つの節、それから出るその次の一対の枝の下に一つの節。このように六つの枝が燭台から出ていた。
37:22 それらの節と枝とは燭台と一体にし、その全体は一つの純金を打って作った。
37:23 また、そのともしび皿七つと、その心切りばさみと、心取り皿とを純金で作った。
37:24 すなわち、純金一タラントで、燭台とそのすべての用具を作った。
燭台は「いのちの光」、「世界の光」であるキリストを表わしています(ヨハネ8:12)。
ヨハ 8:12 イエスはまた彼らに語って言われた。「わたしは、世の光です。わたしに従う者は、決してやみの中を歩むことがなく、いのちの光を持つのです。」
さらに、燭台は油によって、その灯火をともすので、これは聖霊のみわざをも示しています(ゼカリヤ4:1~14)。
ゼカ 4:1 私と話していた御使いが戻って来て、私を呼びさましたので、私は眠りからさまされた人のようであった。
4:2 彼は私に言った。「あなたは何を見ているのか。」そこで私は答えた。「私が見ますと、全体が金でできている一つの燭台があります。その上部には、鉢があり、その鉢の上には七つのともしび皿があり、この上部にあるともしび皿には、それぞれ七つの管がついています。
4:3 また、そのそばには二本のオリーブの木があり、一本はこの鉢の右に、他の一本はその左にあります。」
4:4 さらに私は、私と話していた御使いにこう言った。「主よ。これらは何ですか。」
4:5 私と話していた御使いが答えて言った。「あなたは、これらが何か知らないのか。」私は言った。「主よ。知りません。」
4:6 すると彼は、私に答えてこう言った。「これは、ゼルバベルへの【主】のことばだ。『権力によらず、能力によらず、わたしの霊によって』と万軍の【主】は仰せられる。
4:7 大いなる山よ。おまえは何者だ。ゼルバベルの前で平地となれ。彼は、『恵みあれ。これに恵みあれ』と叫びながら、かしら石を運び出そう。」
4:8 ついで私に次のような【主】のことばがあった。
4:9 「ゼルバベルの手が、この宮の礎を据えた。彼の手が、それを完成する。このとき、あなたは、万軍の【主】が私をあなたがたに遣わされたことを知ろう。
4:10 だれが、その日を小さな事としてさげすんだのか。これらは、ゼルバベルの手にある下げ振りを見て喜ぼう。これらの七つは、全地を行き巡る【主】の目である。」
4:11 私はまた、彼に尋ねて言った。「燭台の右左にある、この二本のオリーブの木は何ですか。」
4:12 私は再び尋ねて言った。「二本の金の管によって油をそそぎ出すこのオリーブの二本の枝は何ですか。」
4:13 すると彼は、私にこう言った。「あなたは、これらが何か知らないのか。」私は言った。「主よ。知りません。」
4:14 彼は言った。「これらは、全地の主のそばに立つ、ふたりの油そそがれた者だ。」
Ⅳ.25~28節、香の壇
出 37:25 彼は、アカシヤ材で香の壇を作った。長さは一キュビト、幅は一キュビトの四角形で、高さは二キュビト。これの一部として角をつけた。
37:26 そして、上面と回りの側面と角を純金でかぶせ、その回りに金の飾り縁を作った。
37:27 その壇のために、その飾り縁の下の両わきに、相対する両側に二つの金環を作った。それは、壇をかつぐ棒を通す所である。
37:28 その棒をアカシヤ材で作り、それに金をかぶせた。
これは祈りを表わしています。大祭司が至聖所に入る時には、この香壇は至墓所に持ち込まれました(ヘブル9:4)。
ヘブル 9:4 そこには金の香壇と、全面を金でおおわれた契約の箱があり、箱の中には、マナの入った金のつぼ、芽を出したアロンの杖、契約の二つの板がありました。
それ故、香の壇は契約の箱の最も近くにあったと言えます。すなわち、祈りは神の臨在の最も近くに近づくことのできるものであることを示しています。
「香の煙は、聖徒たちの祈りとともに、御使いの手から神の御前に立ち上った。」(ヨハネの黙示録8:4)
Ⅴ.29節、そそぎの油と香
出 37:29 彼はまた、調合法にしたがい、聖なるそそぎの油と純粋なかおりの高い香を作った。
そそぎの油は祭司を聖別するためのものであり、香は香の壇で用いるためのものです。これは特別の調合法によって作られました。すなわち、献身も、祈りも、神のみこころにかなったものでなければならないことを示しています。献身と祈りは、聖なる純粋なかおり高いものでなければなりません。そこには自己中心的な打算や不純物が混ざっていてはいけないのです。
(まなべあきら 1989.11.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】を引用。)
上の写真は、イスラエルのティムナ渓谷に造られた幕屋の実物大模型(2013年の訪問時に撮影)
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