聖書の探求(068c) 出エジプト記38章 全焼のいけにえの祭壇、洗盤、庭の建造

38章では、続けて幕屋建造が行われています。ここでは、全焼のいけにえのための祭壇と洗盤と庭に関するものが造られています。

Ⅰ.1~7節、全焼のいけにえのための祭壇

出 38:1 ついで、彼は、アカシヤ材で全焼のいけにえのための祭壇を作った。長さ五キュビト、幅五キュビトの四角形で、高さは三キュビト。
38:2 その四隅の上に、角を作った。その角はその一部である。彼は祭壇に青銅をかぶせた。
38:3 彼は、祭壇のすべての用具、すなわち、つぼ、十能、鉢、肉刺し、火皿を作った。そのすべての用具を青銅で作った。

この祭壇は全焼のいけにえのためですから、全き献身を表わしています。

四隅の角は救いを表わします。

(1)、雄牛の血が角にぬられている(出エジプト記29:12)

出 29:12 その雄牛の血を取り、あなたの指でこれを祭壇の角につける。その血はみな祭壇の土台に注がなければならない。

(2)、「わが救いの角」(詩篇18:2)

詩 18:2 【主】はわが巌、わがとりで、わが救い主、身を避けるわが岩、わが神。わが盾、わが救いの角、わがやぐら。

(3)、「縄をもて祭壇の角にいけにえをつなげ」(文語訳 詩篇118:27)

詩 118:27 【主】は神であられ、私たちに光を与えられた。枝をもって、祭りの行列を組め。祭壇の角のところまで。

また、この角は救い主イエス・キリストを表わしています。

(1)、「一つの角を生えさせよう。」(詩篇132:17)

詩 132:17 そこにわたしはダビデのために、一つの角を生えさせよう。わたしは、わたしに油そそがれた者のために、一つのともしびを備えている。

(2)、「一つの角を生えさせ」(エゼキエル書29:21)

エゼ 29:21 その日、わたしはイスラエルの家のために、一つの角を生えさせ、彼らの間であなたに口を開かせる。このとき彼らは、わたしが【主】であることを知ろう。」

(3)、「救いの角を、われらのために、しもベダビデの家に立てられた。」(ルカ1:69)

ルカ 1:69 救いの角を、われらのために、しもべダビデの家に立てられた。

4節、祭壇の中程の出張りの下に青銅の網細工の格子が作られています。

出38:4 祭壇のために、その下のほうに、すなわち、祭壇の出張りの下で、祭壇の高さの半ばに達する青銅の網細工の格子を作った。
38:5 彼は四つの環を鋳造して、青銅の格子の四隅で棒を通す所とした。
38:6 彼はアカシヤ材で棒を作り、それに青銅をかぶせた。
38:7 その棒を祭壇の両側にある環に通して、それをかつぐようにした。祭壇は板で中空に作った。

これは焼かれたいけにえの灰を下に落として捨てるためです。これは都の外で十字架につけられたキリストを表わしています(ヘブル13:11~13)。

ヘブル 13:11 動物の血は、罪のための供え物として、大祭司によって聖所の中まで持って行かれますが、からだは宿営の外で焼かれるからです。
13:12 ですから、イエスも、ご自分の血によって民を聖なるものとするために、門の外で苦しみを受けられました。
13:13 ですから、私たちは、キリストのはずかしめを身に負って、宿営の外に出て、みもとに行こうではありませんか。

それ故、この祭壇のすベてはキリストを示しています。そして、私たちが自分のすべてをキリストの祭壇にささげた時、全き献身となるのです。

Ⅱ.8節、洗盤

出 38:8 また彼は、青銅で洗盤を、また青銅でその台を作った。会見の天幕の入口で務めをした女たちの鏡でそれを作った。

これは祭司が神に仕えるために身を洗い深めるところです。これは、「会見の天幕の入口で務めをした女たちの鏡でそれを作った。」と記されています。当時の鏡は青銅を磨いてつくったものであり、最も高価なものの一つです。イスラエルの女たちはこれを出エジプトの時に、エジプト人から受け取ったものです。しかし、神のみことばを聞こうとして会見の天幕の入口に集まった敬虔な女たちは、自分たちの最高の宝を神のために献げたのです。それ故、この洗盤は女たちの自己否定的ささげものによって造られたのです。

Ⅲ.9~20節、庭

出 38:9 彼はまた、庭を造った。南側では、庭の掛け幕は百キュビトの撚り糸で織った亜麻布でできていた。
38:10 柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀であった。
38:11 北側も百キュビトで、柱は二十本、その二十個の台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀であった。
38:12 西側には、五十キュビトの掛け幕があり、柱は十本、その台座は十個。柱の鉤と帯輪は銀であった。
38:13 前面の東側も、五十キュビト。
38:14 その片側には十五キュビトの掛け幕があり、柱は三本、その台座は三個であった。
38:15 庭の門の両側をなすもう一方の片側にも十五キュビトの掛け幕があり、柱は三本、台座は三個であった。
38:16 庭の周囲の掛け幕はみな、撚り糸で織った亜麻布であった。
38:17 柱のための台座は青銅で、柱の鉤と帯輪は銀、その柱の頭のかぶせ物も銀であった。それで、庭の柱はみな銀の帯輪が巻きつけられていた。
38:18 庭の門の幕は、刺繍されたもので、青色、紫色、緋色の撚り糸と、撚り糸で織った亜麻布とでできていた。長さは二十キュビト。高さ、あるいは幅は五キュビトで、庭の掛け幕に準じていた。
38:19 その柱は四本。その台座は四個で青銅であった。その鉤は銀であり、柱の頭のかぶせ物と帯輪とは銀であった。
38:20 ただし、幕屋と、その回りの庭の釘は、みな青銅であった。

「バイブル・ワールド、地図でめぐる聖書」(ニック・ペイジ著、いのちのことば社刊)より、幕屋の想像図。

一般の人々は、この庭で礼拝をささげました。それ故、庭は礼拝の場所です。庭の周囲は掛け幕が張りめぐらされていて、庭は礼拝の場所として聖別されていました。

今日、私たちは、教会堂の中だけでなく、どこででも神を礼拝することができます。しかし主が語られたように、礼拝の真の場所である霊魂は聖別され、潔められていなければなりません。

Ⅳ.21~23節、主な奉仕者

21節、金銀などの材料を記録し、量り、渡した奉仕はアロンの子イタマルとレビ人たちによって行われました。

出 38:21 幕屋、すなわち、あかしの幕屋の記録は、次のとおりである。これは、モーセの命令によって調べたもの、祭司アロンの子イタマルのもとでの、レビ人の奉仕である。

22節、ウリの子べツァルエルは主な働きを主のご命令どおりにした人でした。

出 38:22 ユダ部族のフルの子であるウリの子ベツァルエルは、【主】がモーセに命じられたことを、ことごとく行った。

23節、オホリアブはべツァルエルを助けて、彫刻、設計、刺繍をしました。

出 38:23 彼とともに、ダン部族のアヒサマクの子オホリアブがいた。彼は彫刻をし、設計をする者、また青色、紫色、緋色の撚り糸や亜麻布で刺繍をする者であった。

神は、この幕屋建造という大事業のために必要な人物をすべて備えておられました。

Ⅴ.神は、必要な資材もすべて備えておられた(24~31節)

出 38:24 仕事すなわち聖所のあらゆる仕事のために用いられたすべての金は、奉献物の金であるが、聖所のシェケルで二十九タラント七百三十シェケルであった。
38:25 会衆のうちの登録された者による銀は、聖所のシェケルで百タラント千七百七十五シェケルであった。
38:26 これは、ひとり当たり一ベカ、すなわち、聖所のシェケルの半シェケルであって、すべて、二十歳以上で登録された者が六十万三千五百五十人であったからである。
38:27 聖所の台座と垂れ幕の台座とを鋳造するために用いた銀は、百タラントであった。すなわち、一個の台座に一タラント、百の台座に百タラントであった。
38:28 また、千七百七十五シェケルで彼は柱の鉤(かぎ)を作り、柱の頭をかぶせ、柱に帯輪を巻きつけた。
38:29 奉献物の青銅は七十タラント二千四百シェケルであった。
38:30 これを用いて、彼は会見の天幕の入口の台座、青銅の祭壇と、それにつく青銅の格子、および、祭壇のすべての用具を作った。
38:31 また、庭の回りの台座、庭の門の台座、および、幕屋のすべての釘と、庭の回りのすべての釘を作った。

使用された金、銀、青銅の量は正確に記されています。イスラエル人が持っていたこれらの資産は、そのほとんどがエジプト脱出の時に、エジプト人から受け取ったものであると思われます。26節では、この幕屋建造のためにささげられた資産は、成人したイスラエル人のすべてが半シェケルずつささげたことによると計算しているのは意味深い。彼らは、実に、半シェケルによって偉大な働きを成し遂げたのです。神は人材も資材もすべて備えておられました。

(まなべあきら 1989.11.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】を引用。)

上の写真は、イスラエルのティムナ渓谷に造られた幕屋の実物大模型を、2013年に訪問した時に撮影したもの。
(ご参考:「たけさんのイスラエル紀行、”Model of the Tabernacle at Timna”(ティムナの幕屋モデル)」


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