聖書の探求(127) 申命記 序論(1) 名称、目的、内容と特色、中心思想、環境、記者

一、名称

申命記はモーセの第五書であり、「これらは言葉である」という語から始まっているので、それを名称としています(ユダヤ人は最初に出てくる言葉をその題名とする慣習があったようです)が、これをユダヤ人は17章18節に基づいて「律法の書き写し」と命名しました。

申 17:18 彼がその王国の王座に着くようになったなら、レビ人の祭司たちの前のものから、自分のために、このみおしえを書き写して、
17:19 自分の手もとに置き、一生の間、これを読まなければならない。それは、彼の神、【主】を恐れ、このみおしえのすべてのことばとこれらのおきてとを守り行うことを学ぶためである。
17:20 それは、王の心が自分の同胞の上に高ぶることがないため、また命令から、右にも左にもそれることがなく、彼とその子孫とがイスラエルのうちで、長くその王国を治めることができるためである。

本書はまた、「訓戒の書」とも呼ばれてきました。ギリシャ語訳の七十人訳聖書は、17章18節を、「この第二の律法(ト・デューテロノミオン・トゥート」と訳しており、ラテン語訳のヴルガータ聖書も「デューテロノミューム」と訳しているが、これは明らかに17章18節を誤訳しています。しかし本書の内容からすれば、ふさわしい題と言えるでしょう。
それ故、この「申命記」という名称は、過去の律法の反復を記載したものという意味であり、「再述された律法」、イスラエルの二世への律法の再述、律法の解説ということになリます。

二、目的

申命記は、モアブの平野でなされた、モーセのイスラエルの民に対しての最後の説教がその内容です。

それは単に、出エジプト記から民数記までの三つの書の要点を並べ立てたものではなく、契約の啓示と、契約の律法の最も本質的な内容に関する勧告、解説、奨励の文書であって、律法とその成就の霊的原理に非常にすぐれており、教会的、法的、政治的、社会的組織の発達を包含しており、神の約束の地における神の民の生活と福祉に対する恒久的な基礎となるように意図されています。私たち、今日の教会人も、この申命記から多くの霊的光を受けることができるのです。

しかし、申命記の律法はモーセにより、イスラエルの民に勧告の形で表現されています。その律法はいかなる意味においても、全く新しいものではなく、また第二の律法でもありません。モーセの五書のこれまでの律法と本質的に異なるものは何一つ見られません。

三、内容と特色

本書の大部分は主が神の民のためになされたことと、彼らがカナンの地に定住する時に行なうべき点について、彼らの心の中に保ち、守るべき戒めの要点です。

本書の中心メッセージは、「従順」であり、4章1節が、その中心聖句です。

「今、イスラエルよ。あなたがたが行なうように私の教えるおきてと定めとを聞きなさい。そうすれば、あなたがたは生き、あなたがたの父祖の神、主が、あなたがたに与えようとしておられる地を所有することができる。」

本書は5~26章で、神の民の信仰生活、社会生活、市民生活についての律法を記しています。

1、神は、ご自分の民に対する愛(7:13、10:15、23:5)とその扱い方(6:5、30:6)を宣言している。

申 7:13 あなたを愛し、あなたを祝福し、あなたをふやし、主があなたに与えるとあなたの先祖たちに誓われた地で、主はあなたの身から生まれる者、地の産物、穀物、新しいぶどう酒、油、またあなたの群れのうちの子牛、群れのうちの雌羊をも祝福される。

申 10:15 【主】は、ただあなたの先祖たちを恋い慕って、彼らを愛された。そのため彼らの後の子孫、あなたがたを、すべての国々の民のうちから選ばれた。今日あるとおりである。

申 23:5 しかし、あなたの神、【主】はバラムに耳を貸そうとはせず、かえってあなたの神、【主】は、あなたのために、のろいを祝福に変えられた。あなたの神、【主】は、あなたを愛しておられるからである。

申 6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、【主】を愛しなさい。

申 30:6 あなたの神、【主】は、あなたの心と、あなたの子孫の心を包む皮を切り捨てて、あなたが心を尽くし、精神を尽くし、あなたの神、【主】を愛し、それであなたが生きるようにされる。

2、民は、みなしごや、やもめ、貧しい人々、異国人に対して慈悲深く、やさしくするように教えられている(10:18、15:7)。

申 10:18 みなしごや、やもめのためにさばきを行い、在留異国人を愛してこれに食物と着物を与えられる。

申 15:7 あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられる地で、あなたのどの町囲みのうちででも、あなたの兄弟のひとりが、もし貧しかったなら、その貧しい兄弟に対して、あなたの心を閉じてはならない。また手を閉じてはならない。

3、妥協を許さない正義の主張がある。富んでいる人にも、貧しい人にも、身分の高い人にも、低い人にも、区別なく、正義は行なわれなければならない(1:16,17)。

申 1:16 またそのとき、私はあなたがたのさばきつかさたちに命じて言った。「あなたがたの身内の者たちの間の事をよく聞きなさい。ある人と身内の者たちとの間、また在留異国人との間を正しくさばきなさい。
1:17 さばきをするとき、人をかたよって見てはならない。身分の低い人にも高い人にもみな、同じように聞かなければならない。人を恐れてはならない。さばきは神のものである。あなたがたにとってむずかしすぎる事は、私のところに持って来なさい。私がそれを聞こう。」

それは商業取引きの正しいおもりや、正しい枡(マス)にまで及んでいます(25:13~16)。

申 25:13 あなたは袋に大小異なる重り石を持っていてはならない。
25:14 あなたは家に大小異なる枡を持っていてはならない。
25:15 あなたは完全に正しい重り石を持ち、完全に正しい枡を持っていなければならない。あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられる地で、あなたが長く生きるためである。
25:16 すべてこのようなことをなし、不正をする者を、あなたの神、【主】は忌みきらわれる。

4、本書はまた、隣人愛の書です。隣人のろばが逃げるのを防がなければならないし、困っている人を助けなければなりません(22:1~4)。

申 22:1 あなたの同族の者の牛または羊が迷っているのを見て、知らぬふりをしていてはならない。あなたの同族の者のところへそれを必ず連れ戻さなければならない。
22:2 もし同族の者が近くの者でなく、あなたはその人を知らないなら、それを自分の家に連れて来て、同族の者が捜している間、あなたのところに置いて、それを彼に返しなさい。
22:3 彼のろばについても同じようにしなければならない。彼の着物についても同じようにしなければならない。すべてあなたの同族の者がなくしたものを、あなたが見つけたなら、同じようにしなければならない。知らぬふりをしていることはできない。
22:4 あなたの同族の者のろば、または牛が道で倒れているのを見て、知らぬふりをしていてはならない。必ず、その者を助けて、それを起こさなければならない。

「なすべき正しいことを知っていながら行なわないなら、それはその人の罪です。」(ヤコブ4:17)。

5、神への服従は、生命と祝福をもたらし、不服従は、死と呪いを招く(30:19)。

申 30:19 私は、きょう、あなたがたに対して天と地とを、証人に立てる。私は、いのちと死、祝福とのろいを、あなたの前に置く。あなたはいのちを選びなさい。あなたもあなたの子孫も生き、
30:20 あなたの神、【主】を愛し、御声に聞き従い、主にすがるためだ。確かに主はあなたのいのちであり、あなたは【主】が、あなたの先祖、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われた地で、長く生きて住む。

6、この書は、特定の祭司やレビ人に語られたのではなく、一般のすべての神の民に対して語られたのです。ですからモーセは、「イスラエルのすべての民に告げたことばである。」(1:1)と言いました。

申1:1 これは、モーセがヨルダンの向こうの地、パランと、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブとの間の、スフの前にあるアラバの荒野で、イスラエルのすべての民に告げたことばである。

この書は、神が一般の人に何を求めているかを、はっきりと示しています。それ故、主イエスはこの申命記から多く引用され、申命記をこよなく愛しておられたことが分かります(マタイ4:4、7、10、申命記8:3、6:13、16、マタイ22:37、39、申命記6:5 他)

マタ 4:4 イエスは答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。」

マタ 4:7 イエスは言われた。「『あなたの神である主を試みてはならない』とも書いてある。」

マタ 4:10 イエスは言われた。「引き下がれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」

申 8:3 それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は【主】の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。

申 6:13 あなたの神、【主】を恐れなければならない。主に仕えなければならない。御名によって誓わなければならない。

申 6:16 あなたがたがマサで試みたように、あなたがたの神、【主】を試みてはならない。

マタ 22:37 そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』
22:38 これがたいせつな第一の戒めです。
22:39 『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。

申 6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、【主】を愛しなさい。

7、この書は、1章1、5節で、ヨルダンの向こうの地、アラバの荒野、モアブの地で語られています。

申 1:1 これは、モーセがヨルダンの向こうの地、パランと、トフェル、ラバン、ハツェロテ、ディ・ザハブとの間の、スフの前にあるアラバの荒野で、イスラエルのすべての民に告げたことばである。

申 1:5 ヨルダンの向こうの地、モアブの地で、モーセは、このみおしえを説明し始めて言った。

すなわち、カナンの地に入る一歩手前まで来た所であり、またモーセ自身にとっては、地上生涯の終わりの時を自覚させられた時であり、それ故、本書はモーセの遺言的意味も含まれています。本書のほとんどはモーセの説教ですが、それはこれまでに既に語られている律法ではありますが、モーセは、自分がいなくなっても、神の民がこれをきちんと守るように念を押すように語っています。

「そういうわけですから、愛する人たち、いつも従順であったように、私がいるときだけでなく、私のいない今はなおさら、恐れおののいて自分の救いを達成してください。」(ピリピ2:12)

「ですから目をさましていなさい。私が三年の間、夜も昼も、涙とともにあなたがたひとりひとりを訓戒し続けて来たことを、思い出してください。いま私は、あなたがたを神とその恵みのみことばとにゆだねます。みことばは、あなたがたを育成し、すべての聖なるものとされた人々の中にあって御国を継がせることができるのです。」(使徒20:31,32)

8、また本書は、聖潔の書でもあります。

申命記は、神の約束の地、神の備えられた嗣業をきちんと所有することを勧告しています(2:8、7:1、11:8,9 など)。

申 2:8 それで私たちは、セイルに住むエサウの子孫である私たちの同族から離れ、アラバへの道から離れ、エラテからも、またエツヨン・ゲベルからも離れて進んで行った。そして、私たちはモアブの荒野への道を進んで行った。

申 7:1 あなたが、入って行って、所有しようとしている地に、あなたの神、【主】が、あなたを導き入れられるとき、主は、多くの異邦の民、すなわちヘテ人、ギルガシ人、エモリ人、カナン人、ペリジ人、ヒビ人、およびエブス人の、これらあなたよりも数多く、また強い七つの異邦の民を、あなたの前から追い払われる。

申 11:8 あなたがたは、私が、きょう、あなたに命じるすべての命令を守りなさい。そうすれば、あなたがたは、強くなり、あなたがたが、渡って行って、所有しようとしている地を所有することができ、
11:9 また、【主】があなたがたの先祖たちに誓って、彼らとその子孫に与えると言われた地、乳と蜜の流れる国で、長生きすることができる。

また実際的な面からも、純粋な信仰経験は義なる行いによって確証されることを強調しています。信仰の喜びは必ず、公正で、親切な人間関係や商業的、社会的正義を行わせます。

第三に、申命記は、神への忠誠こそが真の敬虔の神髄であると教えています。

最後に、本書は、聖潔の神髄は愛であることを明らかにしています(6:4~9)。

申 6:4 聞きなさい。イスラエル。【主】は私たちの神。【主】はただひとりである。
6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、【主】を愛しなさい。
6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。
6:7 これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、これを唱えなさい。
6:8 これをしるしとしてあなたの手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。
6:9 これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。

神は私たちを愛し、そして私たちが全く明け渡して主を愛する全き愛を求めておられます。神はご自身の愛を現わされることによって、私たちが喜んで神に仕えるようになることを望んでおられます。私たちが全き心で主を愛するのを(30:6)妨げるすべてのものを取り除く時、全き愛は可能になるのです。

申 30:6 あなたの神、【主】は、あなたの心と、あなたの子孫の心を包む皮を切り捨てて、あなたが心を尽くし、精神を尽くし、あなたの神、【主】を愛し、それであなたが生きるようにされる。

「私たちは、私たちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。愛のうちにいる者は神のうちにおり、神もその人のうちにおられます。このことによって、愛が私たちにおいても完全なものとなりました。それは私たちが、さばきの日にも大胆さを持つことができるためです。なぜなら、私たちもこの世にあってキリストと同じような者であるからです。愛には恐れがありません。全き愛は恐れを締め出します。なぜなら恐れには刑罰が伴っているからです。恐れる者の愛は、全きものとなっていないのです。」(ヨハネ第一4:16~18)

四、申命記の中心思想

1、主のイスラエルに対する愛の選び(7:6~8)

申7:6 あなたは、あなたの神、【主】の聖なる民だからである。あなたの神、【主】は、地の面のすべての国々の民のうちから、あなたを選んでご自分の宝の民とされた。
7:7 【主】があなたがたを恋い慕って、あなたがたを選ばれたのは、あなたがたがどの民よりも数が多かったからではない。事実、あなたがたは、すべての国々の民のうちで最も数が少なかった。
7:8 しかし、【主】があなたがたを愛されたから、また、あなたがたの先祖たちに誓われた誓いを守られたから、【主】は、力強い御手をもってあなたがたを連れ出し、奴隷の家から、エジプトの王パロの手からあなたを贖い出された。

「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。それは、あなたがたが行って実を結び、そのあなたがたの実が残るためであり、また、あなたがたがわたしの名によって父に求めるものは何でも、父があなたがたにお与えになるためです。」(ヨハネ15:16)

2、モーセの民への最後の説教

(a)、契約の啓示及び、契約と律法の最も本質的なものに関する勧告文書

(b)、教会的、法的、社会的、政治的な一段の内容の発展がある

(c)、律法とその成就の霊的原理

(d)、カナンの地における民の生活と福祉に対する恒久的基礎を与えるものである

3、モーセの告別の訓戒

(a)、イスラエルの民の荒野のさすらいの旅の総括-神の道徳的審判の解説

(b)、荒野で育ったイスラエル人に対する十戒の反復

(c)、パレスチナ的契約(カナンの地での生活における契約)

4、独特な神と独特な民の関係

(a)、主は独特な神(唯一の神)

(b)、イスラエルは独特な民(神に選ばれた民)

(c)、主とイスラエルの独特な関係(畏れと愛の関係、愛と服従の関係)

5、申命記における新しいこと

(a)、新しい時代(世代交代-イスラエル二世の時代)

(b)、新しい国(荒野の旅からカナン定着へ、マナを食べていたことからカナンの地の産物を食べることへ)

(c)、リーダーの交代(モーセからエルアザルとヨシュアヘ)

(d)、新しい関係(律法から愛へ)

(e)、新しい試み(文化史的)(遊牧あるいは農耕から商業へ)

6、神の子どもたちが覚えるべきもの(6:4~9)

申 6:4 聞きなさい。イスラエル。【主】は私たちの神。【主】はただひとりである。
6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、【主】を愛しなさい。
6:6 私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。
6:7 これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、これを唱えなさい。
6:8 これをしるしとしてあなたの手に結びつけ、記章として額の上に置きなさい。
6:9 これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。

五、本書の説教が授けられた環境

1章3節から、モーセが本書の説教を語ったのは荒野の放浪の四〇年の終わり頃、ヨルダン川を渡る一か月と七日前であったことが分かります。

申 1:3 第四十年の第十一月の一日にモーセは、【主】がイスラエル人のために彼に命じられたことを、ことごとく彼らに告げた。

この説教を言い渡し、別れを告げるために、モーセは七日間を要したと信じられています。

エジプトを出て来た古い世代の人々(イスラエル人の一世たち)は、少数の人を除いて全員荒野で死の眠りについていました。そしてこの四〇年の間に育ってきていたイスラエルの二世たちは、荒野の訓練によって苦難に対して鍛えられており、今やカナン征服に立つべき時が来ていた。そして彼らはカナンの地を目の前にしたモアブの平野に到着していた。彼らがしばしば聞かされていた良い地は、この一帯のヨルダン川を隔てて、眼前に開かれていた。彼らは熱情と希望と決断力を持っていた。モーセは彼らに、彼らの必要としていた作戦と警告と約束を与えた。彼らは、これがモーセを見、モーセに聞く最後の時だということを知っていたので、聞き慣れていたモーセの声であったが、いかに荘重に彼らの耳に響いたことだろうか。年すでに百二十才、肉体の衰弱や精神の衰退はまだ影すらも見えないモーセの威厳のある態度を前にして、いかに深い感銘を受けたことだろうか。私の最後の説教の時も、かくありたいものです。

六、記者

本書はしばしば新約聖書に引用され、その権威も他のモーセの書巻と同様に認められています。主イエスと使徒たちは本書から九十回も引用し、暗示しています。

主イエスはサタンの攻撃に際し、三度も本書の言葉を引用して反駁し、聖書への主の信頼を確証されました。全知の神の御子が虚偽の書巻からそのことばを引用されるとは信じられません。

マタイ4:3,4 - 申命記8:3

マタ 4:3 すると、試みる者が近づいて来て言った。「あなたが神の子なら、この石がパンになるように、命じなさい。」
4:4 イエスは答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。」

申 8:3 それで主は、あなたを苦しめ、飢えさせて、あなたも知らず、あなたの先祖たちも知らなかったマナを食べさせられた。それは、人はパンだけで生きるのではない、人は【主】の口から出るすべてのもので生きる、ということを、あなたにわからせるためであった。

マタイ4;7 - 申命記6:16

マタ 4:7 イエスは言われた。「『あなたの神である主を試みてはならない』とも書いてある。」

申 6:16 あなたがたがマサで試みたように、あなたがたの神、【主】を試みてはならない。

マタイ4:10 - 申命記6:13

マタ 4:10 イエスは言われた。「引き下がれ、サタン。『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えよ』と書いてある。」

申 6:13 あなたの神、【主】を恐れなければならない。主に仕えなければならない。御名によって誓わなければならない。

マタイ22:37 - 申命記6:5

マタ 22:37 そこで、イエスは彼に言われた。「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』

申 6:5 心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、【主】を愛しなさい。

また、本書中には、直接これがモーセに由来するという記録があります。

「モーセが、このみおしえのことばを書物に書き終えたとき、モーセは、主の契約の箱を運ぶレビ人に命じて言った。『このみおしえの書を取り、あなたがたの神、主の契約の箱のそばに置きなさい。その所で、あなたに対するあかしとしなさい。」(31:24~26)

ある注釈者は、申命記がモーセの著述であることを否定し、はるかに後世の作であると力説した。しかしもし、本書がモーセの著作であることを否定するなら、その人は無神論者です。

私たちは、ここでモーセがイスラエル民族の新時代の人々に語っているのであり、時はモーセの生涯の終末、今や民がヨルダン川を渡り、その約束の地を目前にして入ろうとしている時であり、彼らがちょうどここに与えられているこのような教訓と警告を必要としていることなどを考えると、本書の真正に反対して起こされたすべての難問に対する解答を得ることができるのです。

あ と が き

 皆様、お元気ですか。あの猛暑はどこへ行ったのかと言いたくなるほど、急に涼しくなりました。ことしの夏は、自分でも乗り越えることができるかどうか、多少不安でしたが、すべての計画を全うして、なお健康が保たれ、余力もいただいて、本当に主のあわれみと感謝しております。これから、ますます主に忠実に仕えさせていただきたいと思います。
 私からイエス様と主のみことばを取り去ったら、何が残るでしょうか。何一つ残りません。私は頑固なほどに、主のみことばに取り組んできました。今もそうです。もしみことばを拒み、みことばに従わない人がいるなら、私はその人を本当に信頼したり、愛することはできないでしょう。そんな私をある人々は偏狭な人間と思われるでしょう。しかしイエス様を愛すれば愛するほど、自然、私の心はそうなってしまうのです。ニュースにも書きましたが、みことばのリバイバルこそ真のリバイバルと、私は信じています。
皆様のあついお祈りを感謝申し上げます。

(まなべあきら 1994.10.1)
(聖書箇所は【新改訳改訂第3版】を引用。)

上の絵は、アメリカのthe Providence Lithograph Companyによって1907年に出版されたBible cardのイラスト「Moses Pleading with Israel(イスラエルの人々に十戒を守ることを教えるモーセ)」 (Wikimedia Commonsより)


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