音声:信仰の列伝(43) 「自分の弱さを知っていたダビデ」(サムエル記第二、3:1~39)へブル人への手紙11章32~34節

2017年6月11日 (日) 午前10時半
礼拝メッセージ  眞部 明 牧師

へブル人への手紙11章32~34節
11:32 これ以上、何を言いましょうか。もし、ギデオン、バラク、サムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについても話すならば、時が足りないでしょう。
11:33 彼らは、信仰によって、国々を征服し、正しいことを行い、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、
11:34 火の勢いを消し、剣の刃をのがれ、弱い者なのに強くされ、戦いの勇士となり、他国の陣営を陥れました。
【新改訳改訂第3版】

<インフォメーション>

しかし、神が行なわれている成長は、短期間で伸びる急速な成長は殆どありません。一日過ぎても、大きくなったか分からない程度の成長ですが、全くひずみを起こさない、無理のない成長ですが、日に日に確実に成長しています。これは平和な繁栄をもたらします。

しかし、一日にして姿を変えてしまうことも起きます。地震、噴火、洪水などです。急速な発展の変化も、わざわいを生じやすいのです。

「この私は油そそがれた王であるが、今はまだ力が足りない。ツェルヤの子らであるこれらの人々は、私にとっては手ごわすぎる。主が、悪を行なう者には、その悪に従って報いてくださるように。」(サムエル第二、3:39)

ダビデは、自分が神から油そそがれて、王に立てられていることを自覚しています。それとともに、自分に課せられた現実に、乗り越えなければならない数々の課題のために、十分な力がないことを痛感していました。特に、ダビデの軍隊の将軍ヨアブは、ダビデの平和を保つ政策を無視して、イスラエルの将軍アブネルと、争いを起こしていたのです。ヨアブはあくまでも自分の力で戦ってアブネルを倒すことを狙っていました。ダビデはヨアブを制止することができなかったのです。ヨアブとその兄弟アビシャイは、アブネルを殺しました。それはアブネルがギブオンの戦いで、ヨアブの兄弟アサエルを殺していたから、その恨みを返したのです。

ダビデは心配しました。このことが原因で、イスラエル軍とユダ軍が、全面戦争になることを恐れたからです。

せっかくダビデが、主の導きに従って、平和のうちにユダ王国の建設を始めたのに、軍の将軍ともあろうヨアブが個人の恨みを持ち出して、全面戦争を引き起こす危険を犯したのです。

この自己過信するヨアブは、後々も、ダビデを悩まし続けるのです。

ダビデはアブネルの死を悼み、悲しみの歌を歌って、アブネルの墓の前で泣き、断食しました。このダビデの姿を見たイスラエル人は、「民はみな、それを認めて、それでよいと思った。王のしたことはすべて、民を満足させた。それで民はみな、すなわち、全イスラエルは、その日、ネルの子アブネルを殺したのは、王から出たことではないことを知った。」(サムエル第二、3:36~37)

ダビデは、ヨアブをいさめて、止めることはできませんでしたが、最低限、アブネルの死を悼む真実な姿を取ることによって、イスラエルとの全面戦争になることを避けたのです。

「そのとき、イエスは彼に言われた。『剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます。』」(マタイ26:52)

恨みや憎しみは、子、孫にまで争いを残します。主が私を赦して下さったように、赦しましょう。そうすれば、神のあわれみを受けます。

これはダビデが、自分の知恵と力に頼らず、自分の弱さを自覚して、神の前に真実な態度を取ったからできたのです。この無力の自覚は、絶えずダビデを神に信頼させました。

ダビデ王国が健全に、危なげなく、繁栄を続けたのは、ダビデがいつも自分の力なさを自覚し、主に信頼し続けたことに、その秘訣があります。

パウロが宣教活動を成し遂げていった秘訣も、パウロ自身が自分の弱さを自覚して、主を求めたことにあると、証ししています。(コリント第二、12:9~10)

私たちは、肉体を持って生きている間は、弱さと欠点を持ち続けることは、すでにお話してきています。大事なことは、それを理解しているだけでなく、ダビデのように自覚して、主を求めていることが大事です。

<今週の活用聖句>

コリント人への手紙第二、12章9節
「しかし、主は、『わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。と言われたのです。ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。』」

上の写真は、19世紀に描かれた作者不明の「David and the tomb of Abner(アブネルの墓とダビデ)」(Wikimedia Commonsより)

地の塩港南キリスト教会
横浜市港南区上永谷5-22-2 TEL/FAX 045(844)8421