音声:使徒の働き(012) 直下転落 1:15~20

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使徒の働き(012) 直下転落 1:15~20

1:15 そのころ、百二十名ほどの兄弟たちが集まっていたが、ペテロはその中に立ってこう言った。
1:16 「兄弟たち。イエスを捕らえた者どもの手引きをしたユダについて、聖霊がダビデの口を通して預言された聖書のことばは、成就しなければならなかったのです。
1:17 ユダは私たちの仲間として数えられており、この務めを受けていました。
1:18 (ところがこの男は、不正なことをして得た報酬で地所を手に入れたが、まっさかさまに落ち、からだは真っ二つに裂け、はらわたが全部飛び出してしまった。
1:19 このことが、エルサレムの住民全部に知れて、その地所は彼らの国語でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになった。)
1:20 実は詩篇には、こう書いてあるのです。『彼の住まいは荒れ果てよ、そこには住む者がいなくなれ。』また、『その職は、ほかの人に取らせよ。』
【新改訳改訂第3版】

(たけさんの一口まとめ)
聖霊が降臨される前の10日間、弟子たちは、エルサレムの屋上の間に集まって祈っていました。
その時、ペテロが立って重要な提案をしました。この場面について、まなべ先生は大変意味深い説明をされています。

ペテロは、ユダがいなくなった今、使徒の数が12というユダヤの完全数から一人足りないことに気が付いて、聖書の預言を引用して、新しい使徒を選任すべきという提案を思いつきました。何故このような提案をしたのでしょうか。この時点ではエルサレム教会でペテロの指導権は確立しておらず、むしろ、イエス様のことを3回否定した者として仲間からの信頼が薄くなっていたものと思われます。ペテロ自身の性格は、熱心で、せっかちで、勇気があり、リーダー格になりたがる性格でした。そこで、彼は以前のように熱心なリーダーにふさわしいことを示そうとしたのではないかと思われます。この案は皆に受け入れられ、その結果、マッテヤという男が選ばれましたが、神様はすでに12番目の使徒を備えられていました。それは、主に「選びの器」とされたパウロです。聖霊に満たされる前は、ペテロはいくら一生懸命頑張っても、自分の知恵から抜け出せませんでした。

また、ユダについてはどうでしょうか?
ペテロは、詩編を引用してユダが預言されていると言及していますが、この部分は、ダビデが息子のアブシャロムに裏切られた時のことであり、少し無理なこじつけのように思われます。
ユダは、イエスを裏切る前は、12使徒の一人であるという最高の特権を与えられていました。しかし、ユダは、このことを特権とは思わず、イエスを裏切ってしまいました。何故、その価値が分からなかったのか。それは、彼の心が、金、地位、名誉など、この世の価値で覆われていたからです。天国の入口にいたのに、その前で地獄に転落してしまいました。
ユダはイエス様を裏切った後も、何度も悔い改めて立ち返る機会がありました。もし十字架の下へ行って悔い改めれば放蕩息子のように救われたことでしょう。しかしユダはイエス様が十字架にかけられたことを知って衝撃を受け、祭司長にお金を返して首を吊りました。悲しんで、絶望して、自分を責め、自殺したのです。サタンの思惑通りになったのです。
天国の入口と地獄の入口とはつながっています。ユダのように、天国の入口から地獄へ真っ逆さまに落ちる場合と、イエス様の隣の十字架につけられた犯罪人のように、「わたしとともにパラダイスにいます。」と言われて地獄の手前から天国に移される場合もあります。
私たちも主イエスキリストから目を離さないようにしましょう。

写真は、イタリアの画家Giovanni Canavesio (before1450–1500) が描いた「hanging Judas(首を吊ったユダ)」(Wikimedia Commonsより)